第十話 宇宙からの飛来物①
「ご乗車ありがとうございました、三橋山前です」
………!?
ウトウトしていたノボルは、車内アナウンスを聞いて慌てて座席から立ち上がった。
綾津駅から三十分ほどだったにもかかわらず、座ってすぐに眠ってしまったようだった。
電車のドアが閉まる前に急いで下りると、下車した乗客はノボル以外には二人しかおらず、改札の駅員ものんびりとした様子で切符を回収していた。
場所的に人里離れた郊外でもあったため、町中のような賑やかさはなかった。
駅前からは、三橋山のなだらかな勾配の山並みが見渡せた。
山頂付近には牧場があり、数棟の畜舎があるのが分かる。
さらには風力発電の風車も三機、風を受けてゆったりと回っていた。
ノボルは駅員に切符を渡して改札を出ると、朝の光景を思い返しながら歩き出した。
◇ ◇ ◇
あの光の筋が落ちたのは、多分、この辺りだったはず………。
流れ星でも、隕石でもない光跡。
その痕跡を探して中腹までやってきたノボルだったが、やはり体がキツイ。
三橋山は高さが八百メートルほどで、遊歩道やサイクリングコースが整備され、季節ごとの木々や草花を楽しむことができた。
休日ならばノボルの散策コースの一つでもあったのだが、今は仕事の後だった。
しかも、糞尿の運搬。
それゆえに、ふと立ち止まって思った。
わざわざ、こんなことをする必要があるのか?
早くアパートに帰って休むべきだ、と。
もし何もなければ、ただのくたびれ損でしかないのだから。
だが、その一方で、何故かこうも感じた。
何かが自分にここまで足を運ばせた。
あるいは、誘われた、とでも言うべきか。
それを確かめたい。
だから、あとちょっとだけ頑張って探してみよう………。
少しだけ地上から空に近い分だけ、空気も新鮮な気がする。
ノボルは草木や木漏れ日からエネルギーをもらいつつも、どこかに異変がないか再度調べ続けた。
その矢先だった。
………?
木立の間に何かが見える。
周囲の自然物とは違う異質なもの。
ノボルはゆっくりとそれに近づいていき、やがて思わず足をとめた。
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