第九話 選択肢のない仕事
「それ以上、近くに来るな!」
ノボルが車のほうに歩み寄ろうとすると、部下が大声で怒鳴った。
仕方なく運転席との距離をあけてスマホを差し出すと、殴り書きするように画面に電子ペンでサインをする。
「早く行け!」
そして、追い払おうとするかのようにまた声を荒らげたので、ノボルは早々に立ち去った。
◇ ◇ ◇
綾津駅まで戻ってきたノボルは、ホームで電車を待ちながら事務所に業務完了メールを送った。
すると、数分もしないうちに、早速、次の仕事の案件が届いた。
・業務内容 害虫駆除
・勤務場所 四区二十五番地
・勤務時間 午前九時から午後六時(但し、駆除が完了したらその時点で終了)
・支給金額 四千八百円(用具準備費・交通費込み)
・集合場所 午前八時三十分に大広下駅前
害虫駆除………?
もちろん、具体的なことは何も書かれていない。
しかも、送られてきたのはこの一件のみ。
他の仕事がないのなら、やるしかない………。
ノボルは体の節々に筋肉の張りを感じつつも、案件メールに添付されている受諾ボタンを押して返信した。
そして、ホームに到着した電車に乗り込んだ。
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