目覚めて
辺り一面が白かった。なんで意識があるんだ? もう死を待つのみ。そう思うとここまでの出来事を思い出し始める。勇者パーティを追放されて絶望に満ち溢れていた時、ルミアに誘ってもらって銀色の風に入った。それからは勇者パーティとは違い、本当に楽しかった。みんな俺のポーションを褒めてくれたし、魔眼を見ても嫌がらなかった。それに俺を訓練して一緒に冒険しようと言ってくれた。
(あぁ。なんやかんや楽しかったな)
みんなには悪いことしたな。俺のせいで全員危険な目にあってしまった。俺がもっと早く複合魔法を使えれば...。でも結果俺以外重症にはなっていないはず。
(でももっとみんなと冒険したかったな)
まあ楽しい人生だったな...。そう思い目をつぶろうとした時、左眼---魔眼がうずき始めた。
「無茶しちゃいけないって言ったのに...」
「あ! あの時の」
「うん。君は運がいいよ」
「え?」
「魔眼が開眼したおかげでブレスの魔素を吸収してくれたんだ。だからただの火を浴びただけになっているはずだよ」
「魔眼が魔素を吸収してくれた?」
「そう。君の魔眼の本質は魔素を吸収して自分の魔素にすること。でも活用する前に眼がなくなっちゃったけどね」
俺の眼、なくなったんだ。でもここまでよく持ってくれたよ。最初こそ魔眼が嫌いだったけど、今なら言える。本当に感謝している。
「それで本題だけど、君死んでないよ?」
「は?」
そんなはずない。あの時、絶対に死んだと思った。
「まあ普通なら死んでいただろね。でも魔眼のおかげで魔素が消えて焼け焦げただけになった。そして...。いや、これからは目を覚ましてから聞きな」
「ちょっと!」
「これでお別れだけど、今後無茶だけはだめだよ? 後、本当にありがとう。楽しい時間が過ごせたよ」
話が終わった瞬間目が覚める。あれ? 痛くない...。体が熱い。全身が痛い。そう感じていたのに何で...。するとルミアが抱き着いてきた。
「バカ! アッシュが死んだらどうするの!」
「ごめん。でもなんで生きてるんだ?」
全身が焼け焦げていたなら皮膚が壊死していてもおかしくない。なのになんで...。ルミアに聞きたいが俺に抱き着きながら泣いている。その時、部屋にジャックとローラが入ってきた。二人とも泣きそうな顔で近づいてきたが、ピタッと止まった。多分ルミアがいるからだろう。
「それはおれが説明する。結論から言うとアッシュが死んでいるのを助けたのはルミアだ」
「え? ルミアが?」
「そう。エルフの秘宝---世界樹の実をお前に食べさせたからだ」
世界樹の実...。病以外の負傷をすべて治す実。そんなものを俺に使ってくれたのか...。
「でも生きていてよかった。アッシュが通常通りになったら王宮に来るよう言われてるから、早く体治せよ」
「おぅ...」
すると真剣な顔でローラが
「アッシュ...。ちゃんと聞いて。アッシュの魔眼を撤去したの。魔眼を撤去しなかったら体中に魔素がいきわたってしまって、内部が壊れてしまうから」
「うん」
あいつに聞いていたから知っていた。
「驚かないの?」
「まあ...」
目が覚めた時、左側が見えない時点でわかっていたことだしな。
「今回のスタンピードで誰も死ななかったのが一番の功績だな!」
「そうだな」
誰も死ななくてよかった。ジャックと話し終えると2人が部屋から出ていった。
「ルミア? そろそろ...」
さすがにこの状況でいるのはまずい。
「心配したんだから...」
「ごめん」
「助けるの大変だったんだよ?」
「ありがとな」
「本当に感謝してる? 本当に悪いと思ってる?」
ルミアが真剣な顔で俺に言ってくる。
「思ってる」
「だったら私と付き合いなさい」
「え?」
ルミアと付き合う? どういう状況だ?
「ずっと前から、助けられた時からアッシュのことが好きだったの。ダメ?」
上目遣いで言われてドキッとする。容姿は俺の好みにドストライクだし、話しやすい。少し考えれば断る理由がないよな。
「うん。よろしくお願いします」
目を覚まして一番衝撃的だったけど、嬉しかった。誰かに信用される。愛される。
(生きててよかった)




