魔眼の危険性
次の日、俺がすぐさまローラさんのもとに駆け寄る。
「ローラさん! 少し複合魔法の練習をしてもいいですか?」
「え? 予定では今日の午後には魔物たちがやってくるからできれば今度にしてもらいたいんだけど...」
「お願いします」
ここまでやる気を出したのは初めてかもしれない。でもここでやらなくていつやるんだ? 俺はもう仲間に見捨てられたくない。それにこの魔法が成功したらみんなを救えるかもしれない。だから自分の可能性にかけてみたいと思った。
「いいわよ。じゃあすこしだけやりましょうか」
「ありがとうございます」
ローラさんとウーディネの広場に向かう。
「それでわたしは何を教えればいいの?」
「二つ同時に魔法を唱えるコツはありますか?」
「それは...」
あるのだろう。俺も知っている。でもこれをやると俺は通常の目に二度と戻らないかもしれない。それでも...。
「魔眼を使ってもいいですか?」
「それだけはダメ!」
「危険なのはわかっています。危険を承知で言っています」
魔眼を使いつつ、現状できていない複数の魔法を使うことは、それだけ一般人には見えない魔素と密接な関係になるってこと。それをやってしまうと自分の無意識状態でも魔眼を開いてしまったり、最悪日常的に魔眼が開かれてしまう恐れがある。
「本当にわかってるの?」
「はい」
するとローラさんは呆れたような顔で俺を見つつ
「もし危ないと感じたら止めるわよ」
「はい。ありがとうございます」
昨日の夜から覚悟を決めていた。銀色の風に誘ってもらわなかったら一生立ち直れなかったかもしれない。そんな恩人を助ける機会を捨てるぐらいだったら俺の目なんて捨ててもいい。見えなくなるわけじゃない。少し普通じゃなくなるだけ。そんなことでみんなが救えるなら...。
魔眼を開放して魔素を確認する。やはり魔素が暴れている。普通は基礎属性の魔素が一定あるはずなのに、今は闇属性の魔素だらけであった。
(今の状態だと、魔眼を使わないとできるかもしれないのができなかったかもしれない)
今まで気持ち悪い眼。変な眼。みんなに軽蔑されていたため、魔眼持ちが嫌だった。でも今はこの眼に感謝している。今からやることは俺にしかできないかもしれない。それにこの眼が必要なのだから。
まず右手に適性属性の光玉を出す。そして左手に水玉を出そうとする。すると一気に左眼が痛くなる。
「ちょっと、大丈夫!?」
「はい」
魔素が見えているとはいえ、現状闇属性の魔素が多いため、水属性の魔素を取り込むのが難しい。それでも! やはりそう簡単にはうまくいかない。1時間ほどしたところで
「もうやめましょう。このままだと...」
「ダメです。後少しなんです!」
後少しなんだ。後少しで...。そう思った時、左手に水玉が出てきた。
「やっとできた...」
そう思った時にはもう、左眼が本格的に開眼してきていた。




