登場人物紹介(依頼2関連)
・マリー・ジャーミル(18)
168cm51kg B87W58H88
長い黒髪に青い大きめの目をした少女。肌の色はやや褐色ががかっている。間違いなく美少女ではあるが、どこか薄幸な印象も与える。実はオーガとのクオーターであり、それが背の高さと肌の色に出ている。孤児院で疎外されていたのもこのためである。
捨て子としてデルヴァーの孤児院に保護されたが、上記の理由から虐めを受けていた。美貌に対するやっかみもあったようだ。あまり管理のいい孤児院ではなかったこともあり、11の時に脱走。自分の将来を悲観しホープ峠で身を投げようとしていたところを、偶然気分転換に訪れていたニコラスに見つかり保護される。
ニコラスとの師弟関係はそれからのものである。天性の美声もあって徐々に台頭し、15歳の頃にはある程度認められるまでになっていた。カトレアとオルガというデルヴァーの2大歌姫の庇護もあり、17歳で独り立ちすることになる。この際に、「自分が自立するため」と敢えてニコラスの元を離れている。
ただ、肌の色と美貌から若い歌姫からは相変わらず虐めを受けており、その点で度々思い悩むことがあったようである。憑依される直前にもロンナなど複数人から嫌がらせを受けていた。
ニコラスとの関係はプラトニックな師弟関係である。ただし内面では互いに男女としての愛情も持っており、それもまた互いにとっての悩みであった。ニコラスの元を離れたのも、「仮に男女の関係になってしまったらスキャンダルになり、自分もニコラスも破滅するのでは」という思いがあったからである。無論その点はニコラスも認識していた。ただ、それでもちょこちょこニコラス邸を訪問はしていたようではある。
性格は控え目で押しが弱い面がある。キャラとしての個性に欠けるため、「間違いなく有望株であるが何かが足りない」というのが定評であった。
本編終了後は美由紀が遺した楽曲を彼女流にアレンジし、「作詞・作曲リーマ」として世に出す。もちろんストックは限られていたが、美由紀の影響を受け作詞に目覚めたマリーはその後大成することになる。
皮肉にも美由紀のおかげで、「楽曲が書ける歌姫」という評判ができており、それが彼女の成功を後押しした。浄化前後では「明らかに別人だがこれはこれでいい」という評価に落ち着いたようだ。
ニコラスとの関係がどうなるかは現時点では明かさない。ちょい役として何度か再登場の機会はあると思われる。
趣味は料理。家庭料理でピラフの一種である「ナーツ」が得意。孤児院時代に料理役を押しつけられていたのが役に立った形で、ニコラスに褒められてからはひっそりと腕を磨いている。
富永美由紀(享年19)
157kg70kg B89W76H92
短いぼさぼさの黒髪にアトピーで荒れた肌。厚ぼったい一重で容姿ははっきりと良くない。実は痩せて美容整形を受ければアーティストとして人前に出れる程度に見れる外見にはなれたのだが、本人が自分をよく見せる努力を最初から放棄していた。
中卒の引きこもり。出会う人間ほぼ全員に嫌悪感を向けられた結果、「社会に自分の居場所などない」と酷く卑屈な性格に育った。社会に対するルサンチマンを隠そうともしない一方、社会性がなく短気という割とどうしようもない性格。
そんな彼女に与えられた数少ない長所が、天性の作詞・作曲能力だった。自室という自分の狭い世界に閉じこもった結果、それは独自の発達を遂げた。
さらに、暇つぶしに見ていたAKB系アイドルとベイビーメタルの動画に強いインスピレーションを受け、「いつかはああなれたら」という決して叶わない(憎悪混じりの)夢を見ることになる。
転機となったのが17歳。VTuberの存在を知り、独学で動画作成のノウハウを学び「ミユキ」として自作の楽曲を投稿した。その独自のダークな世界観から一部の同世代に熱烈な支持を獲得した。彼女のコンプレックスの一つだったガラガラした低い声も「味」として受け入れられた。そこからの顚末は本編中にある通りである。
彼女にとっての不幸は、最初に当たった音楽プロデューサーが外見重視の人間であったこと。顔出し不可のアーティストは少なくないが、もし彼女が出会っていたのがそういう路線も許容するタイプならまた違っていたかもしれない。無論、彼女の社会性のなさと短気さが致命的であったことは言うまでもない。
転生してからはマリーに取って代わり「黒き歌姫」として活動。彼女にとって恵まれた容貌と声を持つマリーは、自分には決して許しがたい存在であった。何より、それで虐めを受けマリーが苦しんでいたという事実は、「こんなに恵まれた人間が何泣き言言っているんだ」としか映らなかったようである。
本編中で「マリーの全てを奪い尽くす」という言動を取っているのはこのためである。実はある意味で似た境遇なのだが、美由紀がマリーのその本質を理解しようとすることはなかった。
もし彼女が適切で賢明な行動を取っていれば(そして最初の祓い手のパオラを殺していなければ)、浄化はされるものの保護対象として第二の生を生きるチャンスが与えられていた可能性が高い。その意味では愚かな少女ではあった。
なお、ロンナらバンドメンバーは全員マリーに対する虐めを行っていたグループである。恩寵「偶像の甘き調べ」で隷属させ、変態的な同性愛行為を強いたのは「あたしなら簡単に屈服させられる」という歪んだ復讐心によるものであった。
また、後述するが憑依前のマリーに対する嫌悪感・無関心が強いほど、彼女の恩寵の効果は高まる。ロンナたちについては自我を含めて相当程度操ることができていたようだ(だからこそ、現代的な楽器の演奏方法も美由紀を通して簡単にマスターできた)。
なお、性欲こそ強めだが本人に同性愛の気は本来ない。男を性奴隷としなかったのは、単に男性に対する本人の自信のなさと、音楽プロデューサーから面と向かって拒絶されたことのトラウマによるものである。ニコラスにとってはある意味幸いなことであったかもしれない。
趣味は作詞作曲、楽器演奏。
余談だが、ネットでかのブライアン・メイの自作ギター「レッドスペシャル」などの作り方を見ていたため、楽器製作に対する知識は元々あった。基礎的な魔法学の知識をマリーが有していたため、それを活用し自作の楽器を短期間で完成、ライブに投入している。ある種の天才であったことは疑いがない。
また、歌詞は(本人は気付いていないが)中島みゆきのそれにやや近い。ただ森田童子や山崎ハコの方がジャンルとしては近いか。これらをブラックメタル調にしたのが彼女の楽曲とイメージしてもらえればいい。
恩寵「偶像の甘き調べ」恩寵レベル4
楽曲を聴いた者を富永美由紀の「信者」にしてしまう能力。その度合いは様々であり、自我を含めてほぼコントロールできる者から、多少意思を操れる程度の者まで様々。また、本人が意識すれば視覚などの感覚も共有できる。場合によっては行動そのものまで操れる。
その対象は数千人にも及ぶため極めて強力な能力のように見えるが、何分操作の度合いがまちまちであるため万能とまでは言いがたい。しかも能力が作用する条件が「彼女の歌をまるまる1曲分聴くこと」であるため、すぐに発動できるというものでもない。極論すれば「ライブさえ開かせなければどうとでもなる」ため、本編後の査定ではレベル4程度と評価された。
ちなみに効果は「憑依前のマリーへの好感度と反比例する」。このため、女性としてマリーを愛していたニコラスには一切効かなかった。逆に彼女を嫌悪していたロンナたちには完璧に刺さっている。
なお、本編終了後にレズに目覚めてしまったロンナらがマリーに迫ることになるが、当然マリーはそれを拒否している。
・ニコラス・ヨーリヒ(40)
165kg57kg
額の広い小男。やや垂れ目の温厚そうな外見であり、実際に温厚篤実な人物である。代々歌劇場の支配人を務める家系であり、音楽や舞台芸術についての造詣は深い。なお、禿げそうに見えるが若いときからであり、10年前と外見はほぼ変わらない。
デルヴァー歌劇場の支配人。その人柄から歌姫や俳優たちの人望は厚い。それだけにマリーを特別扱いしてしまっている現状には葛藤も相当程度あったようだ。彼女の本格的デビューの際、彼女を家から出した理由の一つでもある。もちろん、このまま女性として魅力的になり続けていくマリーに手を出してしまうのを恐れたのも大きい。
なお、半年前に一応別居はしたが、実質は通い妻状態であったため彼らが男女の仲ではないかと疑う向きはかなりあったもよう。ロンナたちもその点を取り上げて叩いていた。
フリード皇太子とは20年来の古い友人。芸術がフリードの趣味ということもあり話は非常に合うようだ。ただ、10年前の「皇太子憑依事件」では仕事の関係でデルヴァーから離れており、詳細は知らない。
言うまでもないが独身。今まで縁談の話は何回か持ち上がったが、「芸術と結婚しましたので」と全て断ってきた。マリーはそんな彼が愛した初めての女性でもある。
本編中にもあるように趣味は料理。マリーの影響が大きい。