登場人物紹介(依頼5関連)
ディムレ・クアール(23)
181cm73kg(ブリーク・ロルス憑依時)
鋭い目つきをした短い黒髪の男。なお、これは彼のオリジナルの肉体ではなく、「ブリーク・ロルス」というポルトラ騎士団副団長(29)に憑依したものである。後述のように何度も身体を乗り換えており、元の肉体は転生初期に捨てている。
メジア大陸東部のカルディナの出身。戦乱が続くメジア大陸において、有力豪族のファッジ・アルトニオの兵士として転生する。恩寵「感染する死」を用いてゾンビ軍団を指揮し、驚異的な戦果を挙げていた。
本編でもあるようにポーラ・ジョルディアの誘いに乗りポルトラ襲撃作戦を展開。立て続けに身体を乗り捨て、ポルトラ入国管理局を殲滅させた。
転生者である「マルク・ユルチェンコ」がかなり有能な兵士であったことに加え、受肉したロルスがアルバに次ぐ実力者であったのもこの要因である。
転生者、エム・ルーアンを逃がすために自殺。自殺後に自らを理性のリミッターを切ったゾンビと化してリカードら3人と応戦、リカードを2回殺してみせるなど善戦した。
なお、ハンスが指摘している通りゾンビ化したディムレは魔力が尽きるか本人が満足するまで止まらない。魔力切れも近かったのだが、本編ではエムに別れを告げることで最期を迎えることとなった。
自殺による自らのゾンビ化は「暴走」の一種である。暴走の条件はかなり厳しく稀にしか発生しない現象なのだが……?理由はエムの項に譲る。
なお、元々の受肉先のオリジナルのディムレはごく普通の一兵士であったもよう。特筆すべき力もなかったので、とっとと乗り捨ててゾンビにしたようである。
マルク・ユルチェンコ(23)
171cm61kg
ディムレの前世。短い金髪で、周りを寄せ付けないほど鋭い目をした男。
元はウクライナのアマチュアボクサーであり、将来を嘱望される資質を持っていた。ウクライナ危機に伴い徴兵。元より射撃を趣味でやっていたこともあり、キルスコアを稼ぎに稼いでいた。
家族は両親と妹。キーウ郊外に住んでいたが、ロシア軍侵攻により死亡が確認された。その憎しみも、鬼神のごとき強さの源泉となっていたようだ。
マリウポリ攻防戦にて銃弾に倒れ死亡。もし戦争がなければ、数年後に上山のライバルとして立ちはだかっていた可能性は高い。なお本編でこの二人が会ったのはわずか1回だけである。
本質的な性格はお人よしで騙されやすい善人。ただ、理不尽に対する怒りは人一倍強く、これが表面に強く出た本編では善人らしさはほとんど描写されていない。わずかにエムの回想からうかがえる程度である。
趣味はボクシング。観戦も好んでおり、祖国が生んだ2人のスーパーチャンピオンの試合は必ず見ていた。
恩寵「感染する死」恩寵レベル4
頭に触れることで強制的に身体を乗っ取るというもの。極力早く吸魂魔法でディムレを排除しない限りは、15分程度で乗っ取られた相手の魂が食い尽くされる。
「乗り捨てられた」魂なき肉体は、生命活動が終わってもディムレのコントロール下にある。単純な動きしかできないが、脳のリミッターが切れているため剛力を持ったゾンビとして動かされることになる。なお、同時に最大3体まで動かせる。もっとも持続時間は短く、3分がせいぜい。
触れるだけで相手を死に追いやれるというのは相当強力なようだが、実は不意打ちで油断し気を抜いている場合にしか使えない。このため、ハンスやユウ、原田相手にディムレからの直接攻撃は実はほぼ行っていない。ゾンビを使うか、銃を使うかどちらかである。
また、ゾンビとして動かせるのは乗り捨ててから3日以内の肉体のみ。時間が経つほど性能は落ちる。意外と使い勝手が良くない能力である。
本編で行ったように、自殺することで自分自身をゾンビとすることもできる。身体能力は跳ね上がるが、細かい動作はできない。全身をバラバラにされてもある程度の活動はできるが、5回までは死ねるリカードの前では足止め程度にしかならなかった。
知識は乗っ取った相手のものをある程度使えるが、記憶までは読めない。この辺りは「憑依」と異なる点である。本編中、ディムレが片言だったのはエビア語の知識が乗っ取った相手のもので不慣れであったためである。
エム・ルーアン(14)
150kg46kg B79W55H80
赤い目と長い銀髪の少女。やや幼くあどけない顔立ちだが、その瞳の奥にはどこかしら諦観のようなものも感じさせる。
カルディナ北部出身。少数民族「セルフィ」の少女として生まれた。戦乱の中で隠遁生活を強いられていたところに、マリア・ソトコワの憑依を受ける。
ファッジの軍隊の襲撃を受けたところで自らが代表として出頭。自らが慰安婦兼兵士となることを交換条件に同胞の身の安全を保障してもらったという経緯がある。
恩寵「閉じ込められた苦痛」を武器に華々しい戦果を挙げる。前世で学んだ性技もあり、一部では「戦場の女神」として神聖視する兵士も出てきた。
ファッジがエムをディムレ共々放逐しようとしたのは、彼女が自らの立場を脅かすのではないかと恐れたからでもある。
ディムレは初め、自分が真の意味で自由になるために利用するだけの存在であった。ただ、本編にもあるように兄にどことなく似た善人である彼に惹かれ、旅路の最中で心身ともに結ばれることとなる。その後は彼を「お兄ちゃん」として慕うようになっている。
なお、エビア語は一切話せない。メジア語は使えるが、本人は前世の言葉であるロシア語を好んで使っていた。本編中ロシア語による台詞が何度も出ているが、基本は読み飛ばして全く問題ない。
本来のエムはセルフィの指導者の娘。ただ、将来に対して強い諦観を持っていたようである。もしマリアが憑依しなければ、確実に集落は全滅しただろう。彼女も犯されて殺されていたか、良くて奴隷送りだった。
ただ、セルフィ自体は極めて高い魔力を持っており、その中でも彼女は傑物と言える存在であった。然るべき機関で学べば、作中でも最上位の魔法使いになっていた可能性は高い。
エムが恩寵を長時間継続できていたのはこのセルフィの資質のためである。また、「暴走」が発生したのもこれが理由である。前提条件として魔力量が膨大であることがあるため。
ディムレが「暴走」できたのは、彼女との複数回の性交でこのセルフィの資質が「感染」していたのが理由の一つと思われる。
エム・ルーアン(14)
157cm51kg B83W59H84
長くウェーブがかかった金髪。色白で可愛らしい顔立ちの少女。もし日本で育っていれば、確実にスカウトが来たであろう。
ロシアの鉱山会社の社長令嬢として生まれる。父親はいわゆる「オルガリヒ」であり、政界にも顔が利く新興勢力であった。ただ、裏では政界への工作など危ない橋を渡ってきた人間でもあり、これが誕生日パーティーでの殺戮の理由になっている。
襲撃したのは民間軍事会社であるが、その雇い主は政府中枢の有力者であった。運良く逃げ出せた彼女は民間軍事会社の接待要員として捕獲され、性奉仕を通して政府有力者とのコネクションを作るための「道具」として使われることとなった。
最初は抵抗していた彼女であったが、徐々に抵抗する気もなくし人形のように振る舞うこととなった。その後の顚末は本編通りである。
本質的には育ちのいい末っ子気質で甘え上手。ただ性奴隷生活の2年間でかなりドライで擦れた人間となっていた。ディムレの存在は、幸せだった頃の自分を思い出してくれるものでもあった。
趣味はお菓子作り。ただし修行中という段階。
依頼5の後の彼女がどうなったかは、すぐに語られることになる。
恩寵「閉じ込められた苦痛」恩寵レベル4→5
屋外か彼女がいる屋内、どちらかに呼吸器系の症状を引き起こすウイルスをばらまくというもの。活動できないほどではないが、しかし激しい咳と熱を生じさせるため社会活動を大きく停止させることが可能。
治癒魔法が効くため、原田や教会の一部の人間はある程度の活動ができる。ただ、それでも強力なデバフであるため、戦闘能力を大きく低下させることが可能。なお、屋外を効果範囲として指定した場合、その効果範囲は半径3kmにも及ぶ。これは前述したように、彼女の受肉先が魔力を豊富に持つセルフィであることが大きい。
屋外より屋内を効果範囲とした場合の方がデバフは強力であり、屋内においてはほぼ行動が不可能なレベルになる。なお、これ自体に殺傷能力はない(咳が引き起こす呼吸困難での死亡はあり得る)。
恩寵の効果を受けないためには、彼女の体液を何らかの形で摂取し「免疫」を付ける必要がある。これは別にセックスによるものである必要はないのだが、彼女はファッジとその私兵に取り入るために慰安婦としてこれを提供していた。
なお、免疫の効力は1カ月ほど。ただし継続して摂取している場合はこの限りではない。
暴走した後の恩寵は大きく変質。魔力のオーラから形成される「触手」に触れた相手に、致死性の毒素を流し込むというものになる。触手の効果範囲は半径20mと長く、しかもかなり速い。さらに何本もあるので、極めて厄介。当たった瞬間僅かに隙ができるので、そこを狙うしかない。
手段を選ばなければハンスが示したように遠距離攻撃で確殺できるが、生け捕りするのは至難。総じて凶悪極まりない能力である。
対応策としては免疫を持った人間が攻撃を受けること。ただ、よほど免疫が濃くなければそれでもかなりのダメージは受ける。ディムレであれば無傷だった可能性はある。
スティーブ・アルバ(28)
184cm77kg
赤髪の偉丈夫。鍛えた筋肉質の身体であり、目はやや細め。ポルトラの英雄であることもあり、求婚する女性は絶えなかったようだ。
フリード皇太子も婚姻をとりまとめようとしていたが、本人が固辞し続けていた。これはジャニスを諦め切れていなかったためである。
エビア大陸大武術会の準優勝者であり、6年前の騒動を鎮圧した立役者でもある「ポルトラの紅き英雄」。デバフによる遠距離攻撃主体の「奇術師」ヴィクトル・ウェンリーにこそ敗れたが、純粋な武芸の技量だけなら大陸最上位の一角である。
「先読み」と呼ばれる「数秒先の行動を予見できる」能力を持つ。射程は20mであり、この範囲内ならほぼ全ての攻撃を避け、カウンターすることが可能。魔法にも長けているので隙がほとんどない。
長剣を好んで使う。ただ、白兵戦の技量は憑依した上山には及ばない。前世の上山と戦った場合、ボクシングルールなら上山、大武術会のルールならアルバの方が強い。
実は上山伸介の憑依後もそれほど大きく力量が上がっているわけではない。恩寵の「紅き断罪者」はあくまでタイマン用の舞台を作るためのものであり、戦闘の帰趨に直結するものではない。
ただ、ステップワークや距離把握能力など上山の方が上の部分も多々ある。総じて戦闘力だけなら現状の作中では屈指の人物である。
極めてストイックで物静かな男。これは憑依前後でほとんど変わることがなかった。
実は作中でも示唆されているように、アルバは進んで上山に意識を委ねている。このため、完全憑依までの時間が極めて短かった。本来であれば、アルバの魂の色は赤であり、完全憑依を示す紫ではなかった。
アルバが上山に身体の主導権を委ねたのは、ひとえに「最強を知りたい」そして「ハンス・ブッカーと戦いたい」という思いである。
ハンスは彼の想い人であったジャニス・ワイズマンと既に深い関係にあった。彼らはそれを決して表に出そうとしなかったが、聡いアルバはそれに気付いてしまった。本質的に善人であるアルバはそれ以上踏み込もうとはしなかったが、上山による憑依は彼にとって奇貨であった。
なお、本編でも示唆されているように彼の自我は僅かに残っている。もっとも、目的が同じなのでだからどうということもないのだが。
上山伸介(28)
170cm55kg(試合時)
鋭い一重の短髪。髪は少しだけ茶色に染めている。彼の終生のライバルであった猪狩瞬がモデルのような甘いマスクで女性人気が高かったのに対し、こちらは男性ファンが多かった。
ボクシングSバンタム級WBA、WBC統一王者。ハンスの前世である半沢が生きていた時代には実質2団体だったので彼は随分と驚いていたが、実態は階級NO.2である。
世間的な評価は3階級制覇の猪狩の方が高かったのが実態。ただし、玄人筋の評価では五分五分であり、彼らの試合の前評判もかなり競っていた。
ストイックな性格であり金や名誉よりも「強者と戦う」ことに価値を見いだす男。アンダードッグ(噛ませ犬)であろうが何だろうが、世界のどこでも戦うファイターとしての評価は高かった。
スタイルはスタイリッシュなサウスポーのボクサーファイターでカウンターを得意とする。ただし打ち合いもこなす。パンチ力なら猪狩、スピードなら上山というのが定評であった。
彼の前世については本編参照のこと。会長夫婦は娘を彼に嫁がせたがっていたが、上山自身は「現役の内は色恋はいい」と遠ざけていた。別に嫌いであったわけではなかったようではある。
性格的にアルバとはかなり近いものがあり、それが完全憑依が早まった理由でもある。あり得ないことだが、もし前世の上山とアルバが出会っていたら意気投合したことであろう。
なお、猪狩は本編には出てこない予定。出るとすれば筆者の別作品になるだろう。
趣味はスニーカー集め。ボクシング一筋ではあったが、コレクター気質であったようである。
恩寵「紅き断罪者」恩寵レベル2
半径10m以内にいる指定した人間を自分ごと異空間に飛ばすというもの。どちらかが死なない限り異空間からの脱出はできない。
どちらかが死亡すると、消えた時間に実世界に戻る。このため、何も知らない人間が外部からこれを見ると、2人が消えてどちらか1人がすぐに戻ってくるように見える。
また、異空間で受けた傷は実世界に持ち越さない。どんな死闘を演じていても、実世界では体力満タンの状態で戻ることになる。
連戦に向いた能力であり、実は一対多にも強い。引きずり込む相手は複数指定が可能ではあるが、強制的にタイマンに持ち込めるのがこの能力の利点である以上、複数指定する意味はあまりない。
最大の難点は、当人が強くなければ何の意味もなさない能力であること。また、相手の殺害が脱出条件のため、命のやりとりを要求する局面でないと使う意味もない。まさに「相手を断罪・処刑する」ためだけの能力と言える。
このため、搦め手中心でくる相手に対してはすこぶる弱い。ウェンリーはまさに天敵である。また、自分の死を誤認させることができるRRも相性としては厳しい。ハンスのような一撃必殺の奥の手を持つ相手にも弱いなど、実は穴の多い能力である。




