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Vtuberの姉妹が百合営業をしたらガチ百合になってしまった話  作者: 沢谷 暖日
第二章 70パーセントの百合に20パーセントの嫉妬と10パーセントの本音を加えたらどうなるのか編
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白羽舞は尾けてみる

『唯、今日はどこに出かけてるの?』


 考える前に、身体が先に動いていた。

 送ったラインを眺める私の呼吸は少しだけ荒い。

 返事が待てなくて、私は目を逸らして服を着替える。

 私はどうしてか、昨日から変だ。ずっと変だ。

 私の中に、何か不純物が取り巻いている様な気がしてならない。

 その不純物が、私の抱く感情の答えなんだとしても、受け入れられなかった。

 だって。なんでか、こんなにも心臓は苦しいのだから。

 受け入れたら、更におかしくなってしまいそうだった。


 でも──いや、だから、唯の返事は気になってしまって。

 着替えを終えてスマホに戻れば、それは既に届いていた。

 目を逸らしたい思いではあったけど、目をやる。


『今日は友達と駅近くのモールに行ってるよー』


 友達。……友達?

 恵が、友達?

 そう意識すると、心臓の音が聞こえる。

 何も分からない。分からないのに。


『分かった』


 私はそれだけを送り、半ば飛び出す様な形で家を出た。

 持ち物はスマホのみ。けど、なんか重く感じる。

 多分、寝起きだからだろうか。


 あ。そういえば、家の鍵、ちゃんとかけたかな。

 パッと浮かんだそんな疑問は、割とどうでもよかった。



        ※



『今はどこにいるの? モールのどこに?』


 送った文章を見返して、あぁ、なんかストーカーみたいだなって思った。

 モールの一階でウロウロと回っているのも、どこか不審者じみているし。

 なんでこんなことしてるのだろうか、と自問してみるけど。

 返ってきてくれる答えは、いつもおんなじで。


 まぁきっと、アレだな、私。

 やっぱりシスコンになってしまった。と解釈すべきなんだろう。

 少し癪な感じがするけど、それ以外に考えられない。

 恵と行動していることが、心配で。だから。私は、今、こうして変な行動をしている。

 誰だって妹が変なヤツと行動するのは、心配になるものだろう。(恵、ごめん)

 そう考えると。ほんの少しだけ楽になれた。


『今? 三階のフードコートにいるよ! お昼ご飯食べてる!』


 スマホに目を落とすと、返事はいつの間にか来ていた。

 私の足は無意識的にそこを目指す。足早に、地面を蹴って、エスカレーターを上って。

 二階から三階に移る時に、少しだけ慎重に。羽織ったコートに身を隠す様に進む。

 フードコートの少し離れた場所から、視界の先に移る人物を一人一人吟味しながら。

 足を一歩一歩と進め、周りから当てられる奇異な目を弾いて。そして、唯を見つけた。

 あぁそれと、私の友人である──恵を。この場合は、唯の友人と言うべきなのか。


 だがまぁ、やはり見間違いでは無かった。

 唯がお昼に一緒に家を出たのは、恵であり。

 つまりは、唯は恵のことを友達と言い表したという訳で。

 本当に友達なのか? と疑いたくなるが、どうやら本当らしい。

 笑顔を向け合って、楽しそうに談笑しながら。昼食のパスタを啜っていた。

 唯は。私以外にも、あんな風に笑うらしい。まぁ、いいんだけど。ほんとに。

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― 新着の感想 ―
[一言] いい感じに拗らせてますね、どんどんシスコンが加速して欲しいです( ー ֊ー )✧
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