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即興会話劇シリーズ

即興会話劇V

作者: 日向陽夏

「世界で一番嫌いな言葉を決めたいの会」

「どんな会だよ……。好きな言葉の方がいいだろ……」

「好きな言葉ぁ? イン×タに載せるディナー並みのエセ感出したいなら止めないけど」

「イン×タに載せられた全てのディナーに対して謝れ」

「で、どんな言葉が世界で一番嫌い?」

「と、言われてもな。いきなりは出てこないだろ」

「私はポジティブという言葉が嫌いです」

「え、なんで?」

「ポジティブという言葉がそもそもネガティブじゃん。ネガティブを意識してるからポジティブって言葉が出るんだし。つまりネガティブっていう言葉よりもある意味ネガティブな言葉が、ポジティブという言葉に隠されていると私は思う!」

「んー、なんか難しいな」

「本当にポジティブな人間はポジティブっていう言葉をそもそも使わない。ポジティブっていう言葉を使ってる時点でネガティブをめちゃくちゃ意識してるから、そいつはもうネガティブなの。それが言いたい。なんでネガティブなやつにポジティブって言葉を使われなきゃいけないのかが意味が分からなさすぎる」

「それはなんとなく分かるな。もっとポジティブになれよとかアドバイスされるとイラっとするよな」

「それ。本当にポジティブなやつはただそこにいるだけで周囲の空気明るくするからね。ポジティブになれと言われてポジティブになれれば誰も苦労しないっていう話。むしろ余計ネガティブになるわ」

「確かに」

「というわけで、世界で一番嫌いな言葉はポジティブに決定ということで」

「いや、俺まだ言ってないけど」

「え? 早いもの勝ちだよ?」

「何そのルール。滅茶苦茶当たり前感出すのやめてくれる?」

「しょうがないな~~。で、世界で一番嫌いな言葉は何? 努力? 労働? 上司? 才能? 運? 仕事? 社会? 給与天引き?」

「俺のことをお前がどう思ってるのかがよく分かる候補出してくるのやめろ」

「ポジティブを超えられる言葉が出るとは思えないけど?」

「謎の勝ち誇った顔を自重してくれ。俺の世界で一番嫌いな言葉は……自虐風自慢だな」

「自虐風自慢……か。なかなかいいところ攻めてくるね」

「自虐と見せかけて自慢。俺はこれが一番許せない。ただの自慢話でもウザいのに自虐に見せかけた自慢て。一回でもやられたら絶縁確定するレベルでムカつく」

「自己肯定感こじらせると自虐風自慢するようになるのかな」

「自虐風自慢するやつは殴っても罪にならない法律を誰か作ってくれ早く頼む」

「いや~~これは難しいな。ポジティブが優勝すると思ったけど自虐風自慢もなかなか絶妙なツボを突いてくる」

「最近なんか一周まわってポジティブでいることがしんどくなってきた。逆にネガティブなヤツが羨ましいよ。ネガティブになる暇もないぐらい毎日仕事やら彼女とのデートやらで忙しいから、ネガティブになる暇なんてねえよ。今のプロジェクトも、上司から滅茶苦茶期待されてて応えなきゃだししんどいわ~~。今日もこのあとデートだし俺もネガティブになれるぐらいの暇が欲しいわ~~」

「これは殴ってもいいと思う。ていうかポジティブも併用して鬼畜度が増している」

「相乗効果というやつだな」

「リアルで使ったら本当に殴られそう(笑)」

「では今回はポジティブと自虐風自慢のドローということで」

「ちっ、勝てなかった……」

「何の勝負をしていたんだお前は」

「世界で一番嫌いな言葉を決めたいの会でした~~。またね」

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