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宿屋 狐の窓にて

まさかこれが能力?」

どういうわけか塗装されたかのような青い猫人形が出来上がっていた。

手触りは粘土。


「うーん、描いたというか思い描いたものが具現化する?」

いろいろ試してみたくなった、どーせ暇だし……。


文官が教えてくれた画材店を探そう、場所はたしか貴族街の近く。

平民には売れないってことはないよね?


平民街の大通りを急いで歩く30分後そこをみつけた。

案外あっさり着いた、王都といってもそう広くないみたいね。



恐る恐る店内へ入ると初老の店主が客の応対をしてて、こちらをチラリと見て会釈した。

店内はオフホワイトの柱にピスタチオ色の壁、チョコレートような調度品が並んでいた。


店奥から店員が出てきて私に挨拶してきた。

「いらっしゃいませ、なにかご入用ですか?」

「え、えっとスケッチブックと鉛筆を探してます」


とりあえず追い出されなくてホッとした、画材が手に入ればそれで良い。

「羊皮紙タイプと植物紙が数種ございます、サンプルをどうぞ」

私は礼を言って手触りを確認してみる、能力が絵描きといってもほぼ素人だから値段次第かな。


画用紙に近いものがあったので値段を聞いた。

銀貨80枚だ、なかなかのお値段……。やっぱ高いのね。

初心者だということを伝え、お手軽なものを探して貰う。

銀貨30枚のものを薦められた、だいぶ安い!

「色鉛筆はありますか?」

「はい、セットがおすすめです。いかがでしょう?」


元の世界の定番12色があった、お値段金貨1枚と銀貨5枚。うむ、お高いが奮発しましょ。

それから黒鉛筆を2本購入、デッサン用の木炭を薦められたが今回は断った。

あれってパンで消したりするよね、朧げに覚えてたことを思い出す。



絵具も見せて貰ったが赤色だけで10色もあって眩暈が……。

そのうち買わせていただこう。



***


画材店をでたら急にお腹が空いた。

「さきに宿を探そう食事つきがあるかも」


足早に平民街へ戻る、陽はやや傾いた急げー!

戻る途中で果物屋で林檎っぽいものを買いオススメの宿を訪ねた。

「あら、若いのに冒険者かい?そうねぇ馬がいないんだったら狐の窓ってところがいいよ」

「ありがとうございます。オ、おねえさん」


どうみてもオバサンだったけどそこはね?

わたしのお世辞にオバサンは大笑いして蜜柑を一個オマケしてくれた。

とってもいい匂い。



狐の窓は八百屋から3件先だった、取引先なのかも?

チリリンと呼び鈴を鳴らすと18歳くらいの女の子が応対した。

「いらっしゃい。素泊まりは銀貨2枚、2食付きは銀貨3枚です」

「えーと10日連泊できる?食事は今日だけで」

「はい!今夜のご飯は18時から、朝ご飯は7時からです!」


連泊という事に喜んだのか、満面の笑みで宿帳を差し出した。

「さいきん魔物が狂暴化してて冒険者が減ってきているんです。だから嬉しい!」

「ふーん、逆な気もするけど?」

魔物ってそんなに怖いのか、だから勇者召喚なんてしたのかな?


「王様が雇った傭兵さんは増えたけど、王都の無料宿舎へ行っちゃうし……」

昼は食堂としてなんとかやっていると少女は言う。


「でもね、勇者様が召喚されて魔王をやっつけてくれるらしいの!そしたら以前に戻るのよ」

「そ、そうなんだ」


ごめん、無能勇者が一人来ました……。


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