召喚された5人
地下の大聖堂が青白く光った。
「成功だ!」と召喚士達は歓喜し大声を上げた、ドーム型の聖堂内に歓声が轟きドオンと震えた。
円形の石畳みに茫然と佇むのは5名の男女。
容姿から察するに5名とも国はバラバラ、言葉を交わして事態を共感したり情報交換もできそうにない。
意思疎通ができそうもなく全員落胆する。
「ここはどこか」と狼狽えていると、一人のローブ姿の男が彼らの前に立ち声高になにか言う。
何を言っているのかさっぱりだと5人は互いに視線を合わせた。
男は慌てて丸い石を掲げ再び口を開いた。
『申し訳ない、勇者様方。突然の無礼お詫びいたします、先ずはこの指輪をお使いください』
テレビの同時翻訳という感じで言葉が耳に届く、「勇者?」指輪をはめつつ5人は訝しい視線を男に向けた。
「はい、勇者一行様は選ばれました、なにとぞこの国をお救いください」
「なんの話?」
「はあ……ゲームかよ」
「ゆ、誘拐されたの!?」
「……明晰夢かなー?」
「意味がわからないぞ」
それから男は召喚師と名乗り「我らが世界とシンクロした者が勇者として召喚されたのです、名誉なことでございますよ」
なにが名誉だと5人は憤慨する。
シンクロしたから喚ばれたと説明されるも納得できるものか。
男はゆっくりとこの国について語った。
西大陸の痩せた土地で特産品もない北西の小国リキタル。
悪天候が続くなか、魔獣の増加により最弱国は疲弊していた。
飢饉と魔物による被害で民の数は激減していく、焦燥に駆られた王族は大規模召喚を行った。
異世界人の召喚は禁忌とされた秘術であるが、やむを得ない事態であると国王は判断したのである。
「ようするに国絡みの誘拐ってことよね」金髪の女性がイラつきながら言う。
「馬鹿正直に禁忌術って言ってるけど、呆れるな」赤茶髪の彫の深い男性が肩を竦めた。
「おきまりの帰れないってヤツですか?困るよ!」小柄な少年が泣き崩れた。
「……衣食住保障ならどーでもいい」眠たそうな中年男性が言う。
それから、日本人の中学生。各務美月14歳。
「こんな夢をみるなんて中二か!あ、ガチ中二だった!」と心の中でボケとツッコミをしていた。