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神隠し94

残念がる俺へエルドリア・メイド長がな。

「さきほどの料理店は異国伝来の麺料理でございますわね。

 確か…拉麺と呼ばれておりましたわ」


やはりラーメン屋かよっ!

何味なんだろ?非常に、気になるんですがぁっ!


そんなことは関係ないって感じで馬車は進み、ヴァルハラ館第1宮へと。


馬車を降りて第1宮へ入ると、コニーのユラちゃんが、待ちかねたように、俺の所へとな。

来ると早々に、俺へ頭を擦り寄せて来るんですけど…

いやね、ここまで懐かれると、流石に嫌な気にはならないな。


そんなユラちゃんの背へと座り、ゆらゆらと揺られつつ昼餉処へと。

エルドリア・メイド長が先導してっけど、何かあるのかね?

若い執事見習いが走ってたけど、なんだろか?はて?


葵層の昼餉処へ案内されると、料理人が待機していた。

なんだろね?

したらな、俺が現れたのを確認した料理人がな、用意されたテーブルの上に置かれた塊を手にな。


え~っとお…塊な左右を持った料理人が、塊をテーブルへと叩き付け始めたな。

バンバンって、盛大に叩き付けてますが…何をしたいんだ?


しならな、1本が2本、2本が4本って、伸びる度に、端と端を合わせながら、次々に本数が増えて行く。

(すっ)げぇ~っかさ、これってラーメンじゃなく拉麺(ラーミエン)じゃね?

中国の北方料理だったか…


「さきほどの店の数代前の店主が、ここで学んでおり、その経験にて出した店でございます。

 1部の料理のみ再現しているだけの店なれば、こちらで食されても変わりないかと」

そんなことをね。


いや、さぁ…ラーメン屋は店の雰囲気も関係するよね?

まぁ、実際は、ラーメン屋じゃなかったけどさ。


作られた麺が茹でられ丼へと。

スープが注がれ…挽き肉野菜炒め!?


えっ?メンマとかチャーシューは?

海苔は無理だとして、ナルトは?


そいやぁ、ラーメン(ちゃ)ったかぁ…

いや、美味いよ、美味いんだけど…

「せめて、餃子か炒飯がなぁ~」っと、ついね。


「炒飯?餃子??」

んっ?料理人が反応したか?


エドワード執事長が料理人と話してんな。

あれっ?奥へ引っ込んだか?


まぁ、麺が伸びる前にな。

しかし、細いがコシコシした麺が鶏ガラと豚?のスープと相まい、美味い!

上の具が、また良い味だ。


んっ?鶏ガラと金華(きんか)火腿(かたい)で出汁をとってる?

金華火腿って…なに?


まぁ、美味かったから、高級な素材なんだろさ。


食べ終える頃、調理師が何かを持って来たぞ。

えっ?炒飯と…スープ?


量は少なめだから食えそうだが、要求した形になっちまったか?

炒飯とスープが来たってことは、餃子が後から来るのかな?


器が配膳され…んっ?スープじゃなく、水餃子か?

「焼き餃子じゃないんだな」

いや、エドワード執事長?通訳しなくて良いからね。


うん、炒飯も水餃子も、大変美味しゅうございます。


え~っと、焼き餃子って何かって?

俺が知る焼き餃子のことを執事長を経由して教える。


そいやぁ、元々の餃子は、水餃子か蒸し餃子なんだったけか?

第2次世界大戦の終戦時に、中国から引き上げて来た日本人が、中国の餃子を真似て作ったのが、焼き餃子だったはず。

だから日本では焼き餃子が流行り、餃子といえば焼き餃子となったと聞いたような。


おそらく、中国からの迷い人が伝えたんだろう。

基準が違うんじゃぁなぁ~


でも…俺は焼き餃子が食いたいぞっ!ってね。

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