神隠し87
「それでは、葵天は女性の肌を見られたことは…」
いや、エルドリアン・メイド長?
なんだか『ジュル』って音が…気のせいか?
「いや、その手の店へは行ったことはあるぞ」
恋人は居たが、変な倫理観でな。
特に女性側で…
で、付き合う前にな、その手の店へ行ったことがあるのを、何故か知られ…別れることに。
いや、付き合う前だぞっ!
なんで浮気になるのかが、理解できんわっ!
そして、その手の女性とばかりの出逢いがな。
女運、悪いのか、俺?
詳しくは語らんが、なんとなく察してくれるメイドさん達とヒューデリア嬢。
ヒューデリア嬢と数人のメイドさん達は、顔が真っ赤です。
初々しいが、対応に苦慮すっわっ!
コニーのユルちゃんとの攻防を経て、ユルちゃんと仲良くなったメイドちゃんは、キョトンって。
いや、君はさ、その侭で良いの。
純粋に育ってくださいな。
しかしヒューデリア嬢は未経験のはず。
そこら辺の倫理観は、貴族だから厳しいらしいぞ。
だから…なんて耳年増さん、ってね。
そんなことはあったが、俺達は大主浴場へとな。
むろん、女性達は待機となる。
華はないが、野郎同士で裸の付き合いってな。
いや…脱衣場へ着替えや世話を行う女性達の姿が。
アリンさんは、当然のようにお世話になっているが、俺、エドワード執事長、ルマド爺様は、普通に服を脱いで広場へとな。
洗い場はシャワーがないだけで、銭湯の洗い場だな。
湯船は複数存在してんだが…絶対に、あれはおかしい。
「なんで…なんで風呂場に池があるんだよっ!」
衝撃すぎるわっ!
「何を言っておられますので?
湯船ではございませんか?」
執事長が不思議そうにな。
いや、アリンさんは…解ってくれると思ってたよ。
ってもな、唖然として固まってけどさ。
湯船と言い張るからさ、池へ入ることに。
確かに湯だし、全てが陶器を組み合わせて造られてはいるな。
だが、中央へ行くにつれて深くなるんですがね。
泳げる湯船ってぇのも斬新だと思うぞ。
いや、スーパー銭湯なら、ありえるか?
セレブの自宅とか?
まぁ、庶民感覚では有り得ないわな。
風呂の湯は炭酸泉だから温泉の湯かと思ったのだが…
「この湯は水を沸かした物ですな。
最新の真操具にて生み出した水を、真操具を動かした際に発する熱にて沸かしております。
まぁ、それだけでは熱が足りませぬで、真操具にて追い焚きしてをしておるのですが…
その際に真素が沸かした水へ溶け込み、細かな泡となるようなのです。
ゆえに葵天が仰る炭酸泉とは違うと思われますな」
いや、真素が溶け込み、泡となるって…なに?
真素って真那が、固化していない存在だったよな?
真那は原子よりも細かな粒子の筈だろ?
それって、無茶じゃね?
いや、真素…真那が結合した気体なのだろうか?
どちらにしても、真素が、その侭で溶け込んでいると言うのは、納得できない。
納得できないっても、あちらも納得してくれないんだがなっ!




