神隠し83
ソファへ、ゆったりと寛ぐように腰掛けつつ、小皿へ小分けされ提供される料理を、摘まむように食べる。
料理に合わせ、飲み物も差し出され、受け取っては口へ。
あ~ん、ほどではないが、甲斐甲斐しく世話をされてる感、半端ないです。
病人などで介護が必要な人のようですね。
ボケとりませんが…なにか?
ルマド爺様の説明も終わったのだが、この層…フロア全てが、俺の部屋あつかいだと、改めて念押しをな。
いや、身の置き場…
「なら、寝室の1つを普段生活する自室と、定めれば良いのではありませんの?
寝室には普通、個別のお風呂やおトイレ、それに簡易な書斎とかリビングなども、付随しておりませんでしたかしら?」
えっ?それってさぁ既に賃貸マンション部屋クラスを超えてね?
「ほぅ、ヒューデリア卿は、詳しいですな。
さようでございますな。
規模は小さいですが、施設が付随した寝室もございまする。
簡易ながら、洗面所、トイレ、風呂、厨房などの水回り、洗濯場も使用人用に付いておる寝室もありますぞ。
書斎、リビング、ダイニング、娯楽室もですな。
ウォーキングクローゼットに靴や帽子にマントなどの部屋もでしたか…
全てが揃うとしたら、第7寝室辺りでしょうか?」
「さようでございます。
あそこならば、コニー厩舎も近うございますわ。
葵層の中庭やバルコニーへも、比較的用意に移動可能かと」
いや…なに、その豪邸規模?
億ション、億ションなの?
セレブもビックリ規模が寝室って…異世界、バネェ!
しかも、複数層の1つであり、その中の寝室?
っか、ここ旧王宮であるヴァルハラ館は王城の屋上施設に過ぎない訳で…
異世界の規模感に、頭がおかしくなりそうです。
「まぁ、そう言うことならさ、今から第7寝室だったけか?
そこへ行ってみようぜ」ってことになってな。
うん、コニーちゃんに乗って移動です。
このコニーはユルちゃんと言い、牝馬で人懐こく大人しい性格なのだとか。
少し人見知りの気があるそうなんだが…
「葵天にベッタリって感じですわね」
ヒューデリア嬢が呆れたようにな。
もうね、仔犬が飼い主にベッタリっう感じで…なんで、こんなに懐かれてんだろね?
ユルちゃんの長椅子型鞍へと腰掛け、ゆらゆらと揺られつつ移動をね。
途中でユラちゃんが振り向き、俺の顔を舐めるんですけど…美味しいの?
広い廊下と言うか、通路と言うのか、最早道路で良いのでは?っう場所を進む。
ここ、建物の中なんだぜ、全く訳分からん。
そして、辿り着いたるは第7寝室。
いやさぁ、建物中なの、ここっ!
寝室なんだよねっ!
なんで玄関があって、玄関前へ庭があんのっ!
あちらへは、池も伺えるし、庭園もあるよね。
確かに高い天井はあるよっ!
でも、ここを室内、いやさ、寝室と言い張るかぁっ!
大概にせいやぁっ!




