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神隠し76

馬車が水堀に架かる石橋を渡る。

城壁の櫓を潜りヴァルハラ館の敷地内へと。

あ~っと…


「城壁潜ったのに、城壁が見えるんだが?」

堀は、ないようなんだが…はて?


「太古の名残と言われておりますな。


 ここヴァルハラ館は、かつての王城であります。

 ゼショウ王国は、ここから始まったと言われておりますな。


 現在、王城として使われている巨大岩盤は、王城が築かれた山へ埋もれていた代物なのです。

 山を切り崩し岩盤を露出させ、その岩盤を加工して現在の王城となった訳ですな。


 我が国の国力を示すための1大プロジェクトだったと、伝え聞いております」


いや、1大プロジェクト過ぎるだろっ!

っか、城の下に存在する山を切り崩し、それを巨大な城にすると言う構想が、思い浮かぶこと自体が、理解不可能だ。


「しかし…城が築かれた山の中に、都合良く堅牢な岩盤がありましたねぇ」

ご都合主義か?


「はははっ、まさか、ですな。

 そこは、むろん、真素操作でございます。


 ある程度の堅牢な岩盤は御座いましたが、現在の巨大岩盤ほどには、とても及ばない代物だったそうですぞ。

 ですが、それらを基礎にして、巨大岩盤を築かれたのだとか。


 とは言え、一般的な真素使いでは、無理でございます」


ですよ、ねぇ。


「祖皇様なればこそ、行なわれることが可能だったのだとか。


 祖皇様は、地を操る真素操作を特に気に入っておられ、色々なことに活用されたと、伝わっております。


 そんな祖皇様へ、他国にて洞窟内へ教会を造っていたという話をした者がおりましてな。

 地を活用すると言う話をお聞きになり、大層お気に召されたそうなのです。


 なれば、我が国でも!となりまして…」


「現在の王城に?」

頷くエドワード執事長殿。


いや祖皇様…スケール、デカ過ぎだろっ!

元となった洞窟教会もビックリだわっ!


「地球にも洞窟教会があったけか?

 カッパ…カッパドケヤ…違う。

 そう、カッパドキア!カッパドキアだったな」


確か…迫害されたキリスト教徒が、地下洞窟へ教会を築いたのだとか…数世紀過ぎた頃…だったけか?

詳しくは覚えてないがな。


場所はトルコだった、はず、だよな?


「ああ、それのことかも知れませぬな。


 現在は他国へ巨大な洞窟教会が存在しますが、それは、我が国の王城に触発されてのことと、聞き及んでおります。

 元は他国の招かれ人からの話で、カッタドケヤの地下洞窟教会だったとか」


勝ったから退けや?

酷い名だな、をいっ!

完全に(なま)ってんだろ、それ…


そうかぁ~カッパドキアの地下洞窟教会の話を、異世界へ迷い混んだ、招かれ人の侍である祖皇様が聞いて、洞窟教会を真似た巨大な岩盤王城を築いたと…


1大物語りができるわっ!

なんやねんな、それっ!

っか、カッパドキアの地下洞窟教会が元って聞いたら、地元民も魂消るだろうなぁ~


そんな仰天話をしている間に城門を2つ抜けてヴァルハラ館の第1宮へと。


聖女様が住まう宮殿で、俺が住まう場でもあるそうな。

いや…デカイなっ、をいっ!

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