神隠し68
俺の考えを一応は、理解してはくれたよ。
一応はな。
だが、理解して貰えても、受け入れるのは別ってことらしくてな。
「招かれ人に対する扱いは、世界的に定められておってな。
そして我が国の始祖は招かれ人でもある。
なればこそ、特に天位授与に対しては、厳しく定められておるのだ。
ゆえに、天位は受けて貰わねばな」
そう皇王様が告げると、宰相様が…
「なに、難しく考える必要などないのです。
天位は招かれ人を保護するための位なのですよ。
別に義務などはありませぬし、責務を負わされることもございませぬ。
まぁ、犯罪は、流石に見逃せませぬが、それがグレーだと天位持ちが遇されますな。
とは言え、目に余る行動はお控え願いたいですがね」
そんなことをな。
いやな、もちろん、犯罪行為など行うつもりはない。
だいたいだな、非力な1一般人が、どのような犯罪を?
まぁ、貧すれば鈍すると言う言葉もある。
食うに困れば盗みを働くことを考えるやもしれん。
人間なんぞ弱い生き物だからな。
だが、衣食足りて礼節を知るってこともな。
満ち足りている者は、そうそうに犯罪など犯さないものだ。
それでも犯罪行為を行う輩は、何処かが狂っているんだろうな。
少なくも、俺には理解できへんわ。
で、なっ、天位なんて位を得て保護されるともなれば、餓えることなどなかろう。
衣食住は、なんとかなると思うんだ。
だから犯罪を起こすような嵌めになるまいよ。
ま、傲って傲慢になれば解らんがね。
俺からしたら未知の世界へ適応するのに必死、てか、適応できる気がしないんだが…
俺の想像を越えた代物が多く存在するし、理解の及ばない生き物もいる。
巨馬や巨鳥も理解し難いのだが、皇王様とアリンさんを除く、この場の方々もな。
地球に暮らしているとは思えないほどに巨大な人間。
比喩的にグリズリーが子犬に見えるなどと告げたが、流石に、そこまではない、よな?
少なくとも3mは、軽く越えてるな。
4m…5mは、ないか…
だが、明らかに現実味がないデカさなのは、間違いない。
そんな彼が不自由にならない広さも驚きなのだが。
宰相様の太り方も異様の一言だが、まぁ地球でも有り得るか…
他の衛兵達は2m越えは確実で、3mに届いてる可能性も。
巨人の国か?
ヒューデリア嬢は御蝶婦人だし、執事長とメイド長は隠密であろう。
っても、俺とアリンさんもな、モッコシ・タイツ男だしなぁ…
まともなのは皇王様だけかよっ!
とても慣れる気がしないし、慣れてはならないと思うな、うん。
「まぁ、天位をお受けしても、強制されたり囚われたりしないのであれば…」
仕方ないので受けたが、大丈夫だよな?
「うむうむ、受けて貰えて何より。
して、葵様は、何やら試してみたいことがあると言うておったな。
なにを、してみたいと思うておるのだ?」
そのように問われたのでね。
「なにと言われても、具体的には…
ただ、真素を扱えるようになってみたいとは、考えていますね」って応えたんだが…
「いやはや、なんとも気が早い。
いくら招かれ人だとて、来て早々に真素を操るなど不可能に近かろうに」
問われて答えただけなのだが、盛大に呆れられてしまったよ。




