神隠し62
朝の身支度を終えたタイミングで、執事さんが現れる。
来るタイミングを、どのように図ったのか、メイドさんがタイミング良くドアを開けたよ…
連携具合の不思議…サッパリ解らない。
実は、ここ…忍者屋敷って言われてもさ、信じちゃうよ、僕っ。
「朝食の用意が整っております。
参りましょう」ってね。
執事さんエスコートにて廊下を進むが、メイドさんが3歩後ろをね。
実は執事さんは、ここの執事長で、名をエドワードと言うらしい。
セバスチャンではなかったか…
メイドさんはメイド長でエルドリアさんね。
長と長に挟まれて…天辺取ったぞぉ~
いや、調子に乗りました勘弁してください…
執事長さんは老齢と言える年なので納得だが、メイド長さんは、昨日の地球3国語を喋れるバイリンガルメイドさんより若く見える。
ここ重要、若く見えるね。
流石に女性に年齢は尋ねられないが、異世界だから見た目通りとは限らないだろう。
ただ、ここ貴賓の間で生まれ育った生粋の執事やメイドも居るらしく、その場合は年齢よりも重用されるらしいがな。
ま、どちらにしても女性に年齢を尋ねるのはタブーだ。
自分から地雷を踏み抜きに行くつもりはございやせん。
そんなん思ってる間にダイニングルームへと辿り着いたみたいだな。
アリンさんとヒューデリア嬢は、既に食卓にてスタンバっている。
俺待ちってか?
主役は遅れて遣って来るって冗談を言いたのだが、周りの状況が俺を主役扱いにするので洒落にならん!
これなら領主屋敷、いや、郷主屋敷…いやいや、里長の屋敷が一番、居心地が良かったぜっ!
里へ帰ったらダメ?
里に帰らせて貰いますってね。
そんな妄想へ浸りつつ席へ着く。
流石に朝から豪勢とはならず、けど質素でもない朝食がな。
トーストの上にチーズとハムを乗せた、所謂1つのピザトーストってぇヤツだな。
他には、オムレツとベーコンステーキにポタージュスープ、フレッシュサラダがあるのは分かる。
だがな、スープとは別に器があって黒いソースが掛かってんのがな。
これって…鳥車で食べた激旨だったヤツじゃんねっ!
ピザトーストとは別に添えられていたパンを取り、即座に、それを付けて食べる。
旨しっ!
鳥車で食べたのには劣るが、美味い物は美味い。
朝からご機嫌だぜっ!
他の料理も申し分ない旨さだが、やはり温卵黄身の黒キノコソース掛けは、最高だったよ。
アリンさんとヒューデリア嬢も満足そうにしているが、エドワード執事長が怪訝な顔をさ。
「どうかなさいましたか?」
そう執事長へ問うとな、恐縮したように…
「いやいや、顔に出ておりましたか…
私めも修行が足りぬようでございます。
そのですな、葵様が一番に食された卵料理は、最新の自信作と、料理長が言っておった品でしてな。
ですが葵様は、既に知っておられたご様子。
どこで知られましたのかと?」
それを聞き、俺とアリンさんにて鳥車で食した話をな。
えっ?ヒューデリア嬢?
食事中はポンコツ化すっから水を向けませんでしたが、なにか?




