神隠し60
執事さんの禁断スイッチを押してしまったりしたが、無事に晩餐を終えた俺は風呂へと。
日本からの迷い人が日本文学を持ち込んだのか、風呂へ入る風習が根付いているようだな。
うん、良いことだ。
風呂は大浴場と言って良い規模で洗い場も完備されている。
お湯は薬湯であり、様々な薬草や香草に花弁などをブレンドし詰めた袋が沈められているな。
洗い場の石鹸は、ボディソープやシャンプーに慣れた俺からしたら質は良いとはな。
まっ、異世界だかんなぁ…
そういやさぁ、洗うてぇので、風呂へ入る前に一悶着がな。
いやさぁ、物語などで読んだりしたことはあったが、お世話のためって女性が一緒に入ろうとな。
お世話ってぇのは体を洗うってぇことだかんな!
むろん、お断りさせていただきましたとも、ええ。
でぇ、広々とした風呂を1人で満喫中って訳さね。
ってもな、風呂は1つではないらしい。
男風呂、女風呂ってぇ区切りじゃなくてな、俺が入っている規模の風呂が複数あるんだと。
つまりアリンさんとヒューデリア嬢はさ、それぞれ別々の風呂へ案内され入浴してるはずだぜ。
なんつー規模の施設なんだよ。
広過ぎねぇか?
迎賓の間は皇族が住まう層に近い層へ存在してるそうだ。
間に執政や謁見などを行う施設があるそうだが、警備上の配慮にて詳しくはな。
だが、ここから上へ複数の層が存在する訳で…
王城って、凄い施設だったんだなぁ~っと。
さて、逆上せる前に出ますかね。
風呂から上がったが、部屋へ戻るのは御不浄へ寄ってからだな。
いっ?御不浄が御不浄でなく、清潔、だっ、とぉ~
水洗ではない、水洗ではないのだよ、チミィ。
なのに不快な匂いはない。
フローラルな香りさえもしているときた。
なんぞこれ?劇的ビ○ォア・ア○ター並みか?
なんと言うことでしょう!って言わねばならんのか?
原因は不明だが、以前よりも改善されており、快適なトイレ生活が送れるようになるだろう。
っか、トイレ生活って…なんか、ヤダ!
しかし、この絡繰りは是非とも知りたいし、普及していただきたい物である。
これが広まれば汚いトイレと、おさらばだかんなっ!
夢が広がりんぐっ!ってね。
トイレから戻った俺は執事さんへトイレのことを尋ねてみたよ。
「スミマセンが、1つ尋ねさせてください」ってなっ!
「なにか不備でもございましたでしょうか?」
突然の問い掛けに驚かせてしまったようだ。
「いえね、トイレが凄く清潔だったんで驚いたんですよ。
私の世界に比べ我慢ならなかった1つですので」
「トイレの清潔さに、お喜びいただけたようで、なによりでございます。
じつは拈体生物がトイレに配備されておりましてな、それが汚物を分解しておるのです。
分解された汚物は粉状となり回収層へ落ち、回収後は肥料として活用されておりますな」
それって、バイオトイレとか、コンポストトイレとか言われてるヤツやんね。
だが、こちらの方が優れていることがな。
なんと、拈体っうのは粘菌とは違い、スライムと呼ばれる代物だと思われる。
もっとも龍探のマスコットみたいなヤツではなく、完全なゲル状の方な。
移動はできないタイプで、そこへ止まるしかできないらしい。
拳大以上の動く物体は吸収しない性質もあり、安全なのだとか。
メンテナンスも完全フリーだってよ。
ちなみに水分にも問題ないそうでな、地球の洗浄トイレを教えたらさ、かなり乗り気になっていたよ。
この感じでは下水は不要だろうが、そちらも合わせてな。
どうやら世界規模で聖女様以降、俺が初めての招かれ人らしく、情報がかなり古いことが分かったよ。
後で色々と聞かれることとなるそうな、ふぅ。




