神隠し57
貴賓室へと通されると、既に俺の荷物が運び込まれていた。
いやな、俺が下車する前に馬車から下ろされたことは知っていたが、ご主人様より先に…えっ、もう良い?さーせん。
晩餐の支度が整うまで、この部屋で待機のようだな。
メイドさんがお茶を…って、えっ?
「この薫り…珈琲ですかぁ!」
「さようで御座いますが、ご存じで?」
メイドさんが驚いたようにな。
「ええ、あちらでは、日常的に飲んでましたから。
あ、砂糖はなしで」
「でも、苦ごう御座いますよ?」って心配そうにな。
それでも、俺の要望を聞き入れてくれ、ソーサーへカップを乗せて渡してくれたよ。
受け取った俺は、薫りを嗜みつつカップへ口を。
うむ、実に良い豆を使っているな。
旨いっ!
俺が珈琲を楽しんでっと、メイドさんが驚いたように見ている。
なんか変か?
「どうか、なされましたか?」
そう尋ねるとだ、メイドが軽く頬を染めてな。
「これは失礼をば。
珈琲の飲み方として、カップより皿へ珈琲を移した後に飲むとなっておりまして…」
なるほどな、地球でも昔はそうだったらしいと聞いたことがあるな。
したら執事さんがな。
「これこれ、思い込みは感心できませぬな。
昔は紅茶などもソーサーへ移して飲んでおりましたぞ。
珈琲は最近伝来した飲み物ですので、以前の仕来たりも同時に伝来したものかと」
へぇ~執事さんって博学なんだなぁ~
そう思いつつ珈琲をな。
軽い酸味と芳ばしい苦味と薫り…雑味が少なく旨い。
淹れ方も良いんだろう、Dutch珈琲とは違う味わいだな。
珈琲を嗜み寛いでいると、ドアがノックされる。
この国にはノックの文化があるみたいだな。
英国式かぁ~
ノックなんざぁ使わない国もヨーロッパにはあるらしい。
賢しげにノック回数ってんのは西洋被れが吹聴しているだけとみた。
因みにだ、こちらでは合図であるに過ぎず、回数なんざぁ関係ない。
回数でトイレ?身分?身内?
七面倒臭いことは身内で遣ってくれんか?
マヨネーズで普通に食中毒が発生するてぇ誤報とかな、酢が足りない品質管理不足てぇ文言が抜けてらぁなっ。
大体だ、昔に「美味し○ぼ」で滅菌性が高いことが載ってたぞ。
「美味し○ぼ」ったらアレだ。
原発の槍玉回避に某政党が世論を騙くらかしたヤツだな。
大体、某政党が原発を広め、ヤバくなったら当時の与党に責任を押し付けて尻捲ったヤツさね。
今の党員は当時とは違うから責任はないなんて言うヤツもいる。
バカを言っちゃいけねぇ。
なら、昔の人間が築いた地盤を捨てろ。
某政党って名乗るんじゃねぇ。
昔の人間が築いた上で胡座を掻いて、拙いことは別てぇのは詐欺師の常套句さね。
あ、詐欺師だったけか?
いかん、腹が減って気が立ってんのか、訳の分からん鬱憤が爆発しちまったよ。
そんな気持ちを、珈琲で流しさり席を立つ。
さて、王城迎賓の間とやらで出される料理は、どんな料理だろね、楽しみだ。




