神隠し52
食事を終えて程なくすると王都へ到着となる。
話しをする時間は余りないのだが、俺の推論だけでも告げておくかね。
「お二人へ、お話しがあります」って切り出すとだ。
「な、なな、なっ、なんですのぉっ!」ってヒューデリア嬢が…
いやさぁ、そがぁに警戒せんでも…傷つくぞ、俺。
恐くない、怖くなぁ~いってね。
「いやね、俺、鳥車内でしか真素操作しないようにしようと思っているんですよ」
そう告げたらさ、ヒューデリア嬢がキョトンとね。
察しが悪いなぁ…
その点、アリンさんは、即座に気付いたようだな。
打てば響くか如くの反応が良いね。
「真素感知の件ですかな」っと。
俺が頷くとヒューデリア嬢がな。
「お二人で合点してないで、どういうことなのか、教えて下さいましっ!」って、お冠。
いやな、ちっとは考えんとボケるぞ、言わんけど。
「さきほどリビングで行った、真素操作の実験で判明したことを、覚えていますか?」って尋ねたらさ。
「あの非常識な現象のことですわね」って返されたよ。
いやさぁ、間違ってないけど、違ぇっ!
「そうじゃなくてだなっ」
思わず頭をガリガリと掻き毟ってしまったぜっ!
見かねたようにアリンさんがな。
「真素感知せずに真素操作を行う件ですな」っと。
したらヒューデリア嬢がキョトンってな。
「真素感知しないと真素操作できませんわよ」ってね。
「だぁ~らぁっ。
真素濃度が高い鳥車内だと、真素が感知できなくとも、真素操作が可能じゃないかって話だよっ!
つまりはだ。
それが理由で、真素感知できない俺が、真素を扱えたという推論なんだよ。
だが、真素感知には許容量があるから、真素感知を前提に真素操作を行う真素使いには、俺と同じことはできないぞ。
そう考えるとな、俺が真素感知を覚えたら、今と同じことは出来なくなるはずなんだ。
だから当面は、真素感知を覚えない方が良いだろうってな。
鳥車内で何ができるのか、色々と検証してみたいからな」
そう告げるとな、ようやく理解したようでな。
「それなら、そうと、早起く言えば良いんですわっ!」って、をいっ!
アリンさんは苦笑してるな、困ったお嬢様だことで、ふう。
「理解してくれて、良かったです。
そんな訳で、真素感知の習得は当面行いません。
その変わりに、鳥車を使用した真素操作の検証を行いたいんです。
なので鳥車を、お借りできませんかね?」
そう俺が問うと、ヒューデリア嬢が困ったようにな。
「それは流石に、私の一存では決められませんわ。
この鳥車はハウマン領の物で、私の物ではありませんの。
お父様へ話しを通し、決議で可決されませんと…」
あっ、意外と面倒なんだ…
そうなると、検証の環境を整えるのは、意外と難しいかもしれん。
困ったな、こりゃ。




