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神隠し46

「ふぅ~ん…

 埴輪も土偶って、変な形の人形ですけれど、なんだか埴輪ってユーモラスな形ですわね。

 右手を顔へ、左手を腰にって、意味があるのかしら?

 目と口は丸い穴なのに、なんだか可愛らしいですわぁっ!」


どうやら埴輪がヒューデリア嬢のツボに嵌まったようだな。

かの右腕と左腕を合わせて見るとSの字に見える埴輪は、結構、俺の中では印象に残ってるみたいだ。


そして穴だけで表現された顔はユーモラスなんだが…これって絶対にアレだよな、最後の幻想へ出てくる仙人掌だーだよな。

アノ素早く逃げるわりにはさ、針を千本って…憎っくきヤツ!


なんだか埴輪に似ていると以前から思ってたせいかな、なんだか混ざっちまってるよ、これ…

言わんけどな。


埴輪を気に入ったヒューデリア嬢と反対に、アリンさんは土偶が気に入ったみたいだ。

なんだか解らない不思議な造型がさ、心の(きん)線へ触れたみたいだよ。

まぁ、良いけど…意味わからん?


2人がな、それぞれを気に入ったのでプレゼントってね。

だって…俺いらんもん。

不要物を押し付けたとも言うが、本人達が気に入っているから良いだろう、うん。


さて、土から何ができるかってことで土器を創ってみた訳なのだが…まさか皿とか壺のような器ではなく埴輪と土偶が出来上がるとはな。

流石に想定外だったよ。


また試して埴輪と土偶が増産されても堪らんし…さて、どうするかね?


いきなり完成形をイメージしたのが悪いのか?

ならば素材ならどうだろうか?

金属は難しい可能性もある。

そう考えるならば、非金属であり、あちらの世界でありふれた物が良いだろう。


石のような代物で日常的に存在となればガラスか?

それならばイメージもし易いだろうさ。


そのように考えた俺はガラスの器をな。

今度は最初から出来上がりをイメージして創り出したのだけど…なんで切子細工の器?


透明だが高級感溢れる逸品だな。

まさに伝統の技が光る品と言えよう…真素操作で創り出したんだがなっ!


そういやぁ、先週末に先輩と待ち合わせたデパートの1階で、切子細工の物産展をやってたんだったか…

待ち合わせの暇潰しに冷やかしたのだが…あんなに壊れ易く高価な代物を無造作に飾んじゃねぇっ!


万が一にでも落としたら財布に大ダメージどころの騒ぎではなく、冗談抜きで首を括る羽目になるだろう。

意外と知られない日常トラップだな、うん。


あの衝撃は、未だに忘れられん。

思わず、ゾッとしたかんよぉ~


ああ、もしかして…それで切子細工の器が創造できたのか?

試しに2つほど追加で創ってみた。

今度は外側が青色と赤色の切子細工だぜっ。


うむ、我ながら素晴らしい出来だ!


今の季節は初夏。

鳥車内は温度調節されているとはいえ、冷たい代物が美味しい季節だな。


なれば、素晴らしい器にて、食すが良かろう。

思うは天然氷のカキ氷。

シロップは和三盆のスイとメープルシロップに練乳だな。

ふわふわの雪をイメージした天然氷のカキ氷がさ、切子細工の器に映える。

いや、実に素晴らしい。

ってことで、いただきます!

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