神隠し45
聖女様の例を示したことで、一応は2人とも納得してくれたようだ。
だが、だからと言って、無闇矢鱈と真素操作で無から物が創れるとは思ってないようだな。
まっ、それは俺も同じではあるのだが…
「それで、何を創られるおつもりで?」
そうアリンさんがね。
その問い掛けに俺は少し考えてから応える。
「何をじゃなくて、何が創れるか、だな。
取り敢えずは、土塊と水は創れるな。
練習がてら土器でも創ってみるかね」
そう告げるとヒューデリア嬢が首を傾げてな。
「土器って、土の器ですの?」って不思議そうにな。
「土っても、粘土を形成して焼き固めた代物だぞ。
俺達の遠いご先祖様が大昔に使っていたと言う物だな」
そう告げつつ土で形を形成してみるが、これが結構難しい。
粘土から成型しつつ火で焼き固める方式をイメージしたが、面倒臭くなってしまったよ。
え~いっ、いっそのこと、初めから完成形を創り出してしまえっ!
ってことでな、一応は土器が出来てしまった訳なんだが…
「なんですの、これ?」
ヒューデリア嬢が不思議そうにな。
「いや、土器だけど?」
そう応えると…
「これが土器なのですのね…
それで…なんなのです、これ」
だぁ~らぁっ、土器ぃ言ちょるじゃろうがぁっ!
「だから、土器ですってばっ!」
再度告げるとな、アリンさんが代弁を。
「いやいや、葵様。
この土器は、何に使用される代物なのかを、お知りになりたいのかと。
各言う私にも、これの用途が分かりかねますので」
そんなことをね。
いや、用途、用途ねぇ…
「これは土偶と埴輪なんだが…用途て言われてもなぁ…」
さぁ、困ってしまったぞ。
土器とイメージして、一番に頭へ浮かんだのが埴輪。
次いで土偶が思い浮かんだんだよ。
埴輪と土偶ってインパクトあるよねぇ。
だが、埴輪と土偶の用途って…
「え~っとぉ…
埴輪は確か装飾品っうか、埋葬品だったはずだ。
権力者を埋葬する際に供と馬を象って一緒に埋葬したんだったか?
土偶の方は正直、良く分からん。
偶像崇拝する依代か何かじゃねぇかな?
正直、何の用途に使われたのかは知らんな」
そう告げるとな、呆れたように…
「用途不明な物を創りだされたのですの?」ってな。
「まぁ、そうなるかな。
最初は粘土を真素操作にて創り、それを形成して皿を造ろうとしてたんだよ。
だが、意外と面倒でなぁ。
なれば、いっそのこと土器をイメージして創りだしてしまえってな」
「それで、出来たのが、これなんですの?」
ヒューデリア嬢が呆れたようにな。
「いやな、埴輪とか土偶ってインパクトあるだろ?
土器ったら埴輪と土偶が無意識に思い浮かんじまってな。
気付いたら、埴輪と土器が出来てたっう訳なんだよ」
正直、皿か壺を創ろうって思ってたんだよ。
だが土器として埴輪と土偶のイメージが強過ぎてな、気付いたら埴輪と土偶が現れてたっう感じだな。
今回の経験でな、イメージに囚われた場合、創りたい物よりも無意識に意識したイメージに引き摺られてしまうことがわかったよ。
真素操作はイメージが大切っうこったなっ!




