神隠し40
衝撃的な朝食を終え、満足した俺達はリビングへと移動する。
王都へは今日の昼過ぎには到着できるとのことで、昼食を挟んだ後に辿り着く訳だな。
またシェフが、なにやら仕込んでなければ良いのだが…
しかしなぁ~俺って地球に居た時よりも、絶対に贅沢な食事をしているよなぁ~
こんなに贅沢ばかりしていて良いのかしらん?
リビングへ入りソファへ収まる。
っかさ、こんな極上なソファなんぞ地球では触れたこともなかったな。
映画で出てくるクラスだぞ、これさ。
なんだか自分が偉くなったと勘違いしそうで恐いぞ。
所詮は小市民、一般庶民に過ぎないのだから、勘違いしないようにしないとな。
ソファへ座るとヒューデリア嬢が尋ねてきた。
「葵様は鳥車内であれば真素操作可能でしたわね。
光る球を宙へ浮かべておいででしたけれど、他には何ができますの?」ってな。
いやいや、それは俺が知りたいわいっ!
「何ができると訊かれてもなぁ…
だいたい真素感知とやらも行えてないからな。
どうやって光りの球が出たのかも分からんし?」
そう告げると2人ともが口と目を広げ固まったな。
いや、はしたないぞい。
俺が困っているとアリンさんが早々に復帰な。
ヒューデリア嬢の面白顔を写メってみるか?
いや、流石に可哀想だな、うん。
復活アリンさんがさ、おもむろに俺へ。
「常識が通用しない方ですなぁ~
しかし、では、どのようにして光りの球を作りだされたのです?
無意識と言う訳ではないのでしょ?」
「いやだからさ、以前に言った通り、物語に書かれていた魔法を使えるか試したんだよ。
ってもな、軽い冗談のつもりだったんだわ」
「でも、できてしまわれた訳ですよね?」
そら、頷くしかないわさ。
「小説で魔術はイメージだと書かれていてな。
そんなノリでやったんだよ。
他にも試してみたいが危険だろ、だから安全そうなのを選んだだけだ。
って、これも以前に言わなかったか?」
困った連中だなぁ、もう。
「なら…結界を作れるか試してくださいましっ!
結界内ならば色々と試せますわっ!」
いや、できるの前提かよっ!
「あんなぁ…結界って、どうやんのさ?
そんなに簡単じゃないだろ?」
そう告げつつ真四角透明な結界をイメージして…「結」なんちて。
って、はぁ?
なんでできんの?
「滅」ったら滅することは…できんようやね。
これは夢の亀さん波も…結界内へと向けてな。
「亀嵌○刃」ったりして………無かったことにしよう、そうしよう。
どういう基準で再現されてんだ、これ?
取り敢えずは、今の行動を理解できる者が居なくて良かったぜぇ。
恥を掻くとこだったわ。
しかし、夢の竜玉がぁぁっ!
いや、スーパーなヤツが…って、俺、地球人やんね?
スーパー地球人って、なにそれ新しい。
取り敢えず、そちらの方向から離れよう、そうしよう。
では単純に火の玉をイメージして放つようにな。
「ファイアボール」ってね。
野球ボール大の火の玉が宙に現れたらと同時に、ヒュンって感じの勢いで結界内へと。
結界内へ着弾と同時に破裂してんな、うん。
威力のほどは良く解らんが…兎に角危険だ。
気を付けよう。




