神隠し39
メイドさんの説明を受けて納得する俺と、何故だか愕然とするヒューデリア嬢。
いや、なんぞ!?
「なんて物を食べさせるんですのっ!」ってな。
なんか拙ったのかね?思わず首を傾げてしまう。
メイドさん達がオロオロしてるぞっ!
「このような品を食べてしまったら、他の料理が全て霞んでしまいますわっ!
普段の食事は質素ですのに、食事が辛くなってしまうではないですかっ!」
いや、そっち?そっちなの、ねぇ?
不味い物を食わせて怒られるのなら分かるが…まさか美味い物を食わせて怒られるとは、想定外だろうぜぇっ!
メイドさん達も微妙な顔をしてるな。
「う~むぅ。
ヒューデリア様が仰っておられることも、一理ありますね。
何せ、この品は次元が違うと言える美味さと濃厚さ…
今迄に食してきた、どんな料理も霞んでしまいますな。
そうなれば普段の質素な食事に戻るのが辛くなるのは道理でしょう」
そうアリンさんが告げる訳だが…
「2人とも上流階級なんだよな?
なのに普段の食事は質素なのか?」っと、不思議に思い尋ねるとな。
「当然ではありませんか。
郷主一族や領主一族は、民から得た富で生きてますの。
そんな私達が無駄な贅沢をする訳にはいきませんわ。
まぁ、けど、必要なことに惜しむことはいたしませんわね」
なるほどなぁ~
そう言うことだったか…
それにしても、あの品は、よほど衝撃的な味だったようだな。
ま、それは認めるしかあるまいて、
だってなぁ…他の品だって食材も調味料は一級…いや、特級品だろう。
同じシェフが手掛けているはずだから、超一流シェフの料理だ。
なのに、なのにだ。
あの卵料理を食べた後では味気ない。
特級と言える料理でだぞっ!
確かに、この味を知った後に質素な食事は厳しいかもな。
「いや、でもなぁ~」
「なんですの?」
「あんなぁ。
この料理が食べられないのと、食べられるのを選べと言われたら…どうする?」
そう問うとな。
「食べるに決まっていますわっ!」
何を言う、っう感じで言わんでもさぁ…
「つまり、そう言うこった。
こんな美味い物を食う機会に恵まれたんだぞ。
俺は感謝こそあるが、不満などないさ。
それに世界は広いんだ。
これ以上の美味も有り得るだろ?
そんな料理に出会った時、日々の質素な食事が辛くなるって拒否るか?
俺なら御免だね」
そえ告げるとな、ヒューデリア嬢が俯き考えてる。
っか、おまっ、それ、止めれっ!
俯いてた顔をガバッと上げっからビビるんだよっ!
「そうですわね、考え違いしておりましたわっ!
狭い了見で己が見識を狭めようとは、私もまだまだですわね。
考えを改め、世界中の美味なる物を食べ尽くしますわよっ!
オーホホホッホォ~」
高笑い止めれっ!っか、世界中の美味を食い尽くすって、どんだけやねんなっ!食いしん坊過ぎやろがぁっ!
内心突っ込みに疲れやす。
しかしなぁ…お嬢様の高笑いって、初めて聞いたぞ。
創作上の話しで実際には有り得ないと思ってたよ。
しかしヒューデリア嬢ってさ、濃いキャラだよなぁ~
美少女っうだけでも目立つのに、金髪縦ロールだろ。
行動力ある真素使いで弁も立つ。
しかも、食いしん坊キャラでの高笑い。
そうそう、周りへの気遣いもでき優しいから、使用人達からも人気があるそうな。
1人何役やねんっ!




