神隠し31
驚くアリンさんに対し勝ち誇るドヤ顔のヒューデリア嬢。
いや、そのドヤ顔…イラっとすんわぁっ!
「ほら、ごらんなさいな。
通じてるではありませんこと」
そんなことをドヤ顔にてな。
いや、そのドヤ顔を止めれっ!っか、通じてるって、何?
「そのようですね…」
苦笑いしつつ認めてるけど…訳分からん。
俺が首を捻ってるとアリンさんがな。
「ヒューデリア様は先程からゼショウ国語を話されておられますよ。
気付かれてなかったのですか?」
そんなことをな。
って、マジでぇ~
ってからに、益々ドヤ顔にぃっ!イラッ☆
「全く気付かなかったですね。
一体、どう言う絡繰りで翻訳がなされてるのか…理解できませんよ」
そう告げるとな、ヒューデリア嬢がニンマリと笑いつつ。
「ですから、通訳は不用ですのよ」だってさ。
まぁ、確かに通訳は不用なのだろうな。
だが…
「そうですね。
通訳は不用ですが…何故に立食パーティーなんです」
そう尋ねるとだ。
「それは仕方ありませんわ。
領都だけでも招かれ人に会いたいと言われる方々が居られますのに、滞在中の方々からもご要望が殺到しておりますもの。
随分と人数を絞ったとのことですけれど、それでも立食形式にしないと収容できなかったらしいですわ」
それで立食形式と…
それってさぁ、色んな方が俺へ群がると言うことでは?
帰って良いかな?
「あのですね。
私は、あちらの世界では一般庶民でして…こちら側での平民でしょうね。
だからパーティーなどには馴れてませんので…」
少なくともっ!会社の飲み会は含まれないっ!
含まれないよね?
「大丈夫ですよ、そこら辺は私がフォローいたしますから」っとアリンさんがね。
いやいや、やはり男前過ぐるわ、この方…
アリンさんが告げると、対抗する訳ではなかろうが…
「あら、当然、私もサポートいたしますわよ」
そうヒューデリア嬢がね。
ようやくドヤ顔を止めましたか…しかし化粧映えする顔だなぁ…
ある意味、濃い顔と言えるだろう。
ゴージャス美少女ってか?
そんな美男美女に挟まれた正体不明のフツメンが俺な訳で…ある意味、大変目立っている。
嫌な目立ち方だなっ、をいっ!
そうこうしている内に、ご領主一家が会場入りされたようだな。
ホストが最後に会場入りし、それでパーティーが始まる訳だ。
なので、身分の低い者から先に会場入りするのが建前らしいのだが、形骸化して守られてないらしい。
ただ、ヒューデリア嬢は本来、今のタイミングでの会場入りとなるのだが、俺のサポートと言うことで抜けて来たらしい。
「ほら、料理が置かれたテーブルの方へ行きますわよ。
お父様の挨拶が終われば、食事可能ですから、早めに確保して食べてしまいましょう。
人が群がって来たら食べる暇などありませんからね。
シェフお薦めの品をメイドに指示して3人分は確保してますけど、食べたい品があるか見たいでしょ?」
いや、それは絶体に、あなたのことでしょ?
アリンさんが困ったようにな。
「ヒューデリア様…料理目当てに抜けて来られましたね?」っと。
したらさ、バツが悪そうに…
「だって領主側だと挨拶を受けるのに忙殺されて食べられませんのよ。
特に、今日の料理は招かれ人様用の特別料理ですから、私達でも口にできるのは希ですの。
なのに食べれないなんて…いやですわ」
意外と食いしん坊さん?
結構、可愛らしい一面をお持ちのようです、うん。




