神隠し30
メイドさん達に磨き上げられた俺は迎賓区の晩餐会場へと送り出されることにな。
男装執事さんがエスコートしてくれてるぞ。
晩餐会場へと辿り着き扉を潜れば部屋はホールとなっており、立食形式で食事を摂るパーティーのような感じとなっていた。
って、待てやぁっ!
立食形式パーティーって歓談が基本やんね。
おそらくはパーティーの主賓は招かれ人たる俺だろう。
そんな主賓扱いの俺は言葉が分からず話せませんが?
いや、アリンさんとヒューデリア嬢が通訳してくれれば大丈夫か?
そうは言ってもさ、通訳しながらだと、ろくに飯が食べれないんじゃぁ…
そんなことを思っていると、件のアリンさんがこちらへと。
「男振りが上がられましたねぇ」っと、アリンさんが俺を讃えるのだが…
チッ、イケメンのアリンさんが磨き上げられ、更にレベルアップを超えるクラスチェンジクラスとなっているのに、庶民の馬子にも衣装って感じで衣装に着られた俺へ、何を言うんだってなっ!
ホールへはメイドさん達のような使用人以外にも様々な方が来ている。
そんな中でもアリンさんの男振りは1級と言えよう。
間違いないく女性からのチラチラした視線はアリンさんへ向かってるからな。
アリンさんが接触して来たから俺への視線もあるが…何故、あのような者の所へ?って感じの視線だな、クソっ!
「どうかされましたか?」
アリンさんが俺を気遣って尋ねてくる。
いやさぁ、良い方なんですよ、実にね。
ふっ、イケメン過ぎるのが罪なのさ、ってあげたいが…出来んわな。
「いえ、立食形式のパーティーには馴れておりませんでね。
それと、この形式だと歓談が中心となるはずですよね?
私は話せないので、アリンさんかヒューデリア嬢のように日本語を理解できる方に通訳していただく必要があるのですが?」
そう告げるとアリンさんが苦いして告げて来る。
「通訳なれば私が行いますよ。
そのために領都まで同行したのですから」
そんなことをな。
クッ、外面だけでなく、行動も男前過ぐるぅっ!
イケメン力、何パーセントやねんなっ!
そんな話をしていると、ヒューデリア嬢がこちらへ来て告げる。
「通訳など不用ですわよ」っとね。
いやっ、待ってんか!
それって、俺放置ってこと?
言葉も通じないのに未知なる上流階級パーティーへ放流されると…
最悪極まる‼
空かさずアリンさんがヒューデリア嬢へ抗議を。
「それは葵様を放置と?」ってね。
ヒューデリア嬢はアリンさんに何を言われたのか理解できなかったようで、一瞬固まるが…
「そんな訳ないじゃないですかぁっ!」ってね。
「しかし、言葉の通じないことを葵様の通訳をしないなら、葵様は孤立されることになりますが?」
困ったように問い掛ける彼にヒューデリア嬢がニンマリして言う。
「その心配はありませんの。
このホール内は真素を充填して鳥車内と同じ環境にしてますのよ。
なれば葵様も、こちら側の言葉がお解りになられるはず、そうですわよね?」
そのように告げてくるんだが、本当に通じるのだろうか?
「それは、こちら側の言葉で遣り取りしてみないと分からないですね」
そう返すとアリンさんが驚いてたよ。
どったの?




