神隠し25
そんなんしてる間に次の料理がな。
既にサラダの姿はない、消えてしまった、ジッ、イリュージョン。
いや、食べたんですけどね、気付いたら無くなってたという不思議…
そんな俺の前へと置かれたのは巨大春巻きのような物が数本乗った皿だな。
香ばしくも芳しい芳香を放ってはいるが、暴力的な勢いはない。
昼食なので最後の一皿となる訳だが…メインとしては貧相やおまへんか?
そんなことを思ったこともありましたっ!
誰だよっ、貧相ったのわっ、俺かっ!
まさか春巻き皮のような物の下に質感の異なる数枚の薄切り肉が、肉と肉との間には味の異なるソースが挟まれているな。
そして中心部には…パスタ。
1つはバジル風で刻み野菜と香草が塗されており、味に深みと食感を。
パリパリとした春巻き風皮と薄切り肉の歯応えと合間って美味いっ!
その次はカルボナーラ風パスタだった。
生ベーコン、炒めベーコン、カリカリベーコンが3種の神器ごとき旨味を卵が効いたソースと合間り…ふぅ。
最後はグラタン風だが、カニ、エビ、イカなどの海鮮が具となっていた。
パスタはマカロニ風ショートパスタだな。
春巻き風皮と肉巻きにて満足感もさ。
難点は少々食い難いことか。
俺は大口開けて噛じり付いていたが、貴族然としたお2人が大口開けて噛じり付く訳にもいかないだろう。
だからフォークとナイフで切り分けて食べているよ。
だが、アレでは美味しさ半減だろうな。
この料理は噛じり付いて初めて真価を発するだろうからさ。
しかし…あれだけ有った飢餓感も、流石に癒えたが…なんだか体がポッポッっと熱い感じが。
活力が異様に高まり、なんだか走り回りたくなってしまう。
ヤッパリさ、この料理ってば、ヤバくね?
お上品に食べる2人を尻目に、早々に昼食を終えた俺は茶を頂きつつ2人を待つ。
2人は優雅に見えるよう上品に食べているが…ありゃ、相当苦戦しとるぞ。
話す余裕もないみたいだしな。
だから俺は少々暇になってしまった訳で…再び聞き耳をそばだててみることに。
「料理長、やはり食べ難そうにされているそうですぜ」
「むぅ、革新的な調理法だと思ったのだが…上の方々へ饗するさいには、なにか手を打たねばなるまいな」
「招かれ人様は上手に食されたとか」
「俺っち達と同じく丸噛じりされたそうですぜ」
「う~むぅ、庶民派な方なのだろうか?
だが、丸噛じりが一番適しておるのも事実。
小さくできれば良いのだが…」
厨房ではメインに出した料理についての議論が続いているようだ。
他の場所はどうだろうか?
「船長、調教師から連絡です。
前方に領都を確認、何時もの場所へ向かうとのことです」
「ふむ、予定通りか。
航空士、先程避けた乱気流のような場所は前方に見当たらぬな?」
「空路内に異常は見受けられません」
「左様か、ならば良し。
着陸誘導を促す誘導弾を射出せよ」
「ヨォ~ソロォ~」
んっ、なにやら鳥車から射出されたな。
ダイニングルームの窓からも視認できたよ。
したらな、しばらくして地上から色が付いた狼煙が上がる。
そこへ着陸するのだろう。
もう着いたのか…早いな、をぃっ!




