神隠し23
俺が無意識に真素操作を行った疑惑が持ち上がったが、知らぬ言葉を自動翻訳って意味分からん。
戸惑っているとヒューデリア嬢が興奮して話してきたな。
「聖女様が「飢餓感にて集中力が増し、鍛練には非常に優れている」と言われいると聞きましたわ。
鳥車で擬似的に飢餓感を覚えたのが良かったのかしら?
「こちらへ招かれるまで、常に空腹だったから聖女になれた」とも仰られていたそうですし…」
いやいや、それってさ、絶対に自分と同じ経験をさせたいだけやろ。
普通は腹が減ったら集中力が落ちるて。
聖女史上主義らしいヒューデリア嬢は、聖女を讃えるように告げているが…なんだかなぁ~
まぁ、彼女が告げたことが正しいか、メイドさん達が話している内容を意識してみるかね。
「スープは直ぐにでも出せるそうです」
「そうですか…
本来は前菜を先に…」
理解できちゃったよ、をいっ!
ってもな、結構な集中力が必用だ。
先程、耳を澄まして控え室で話されている内容を聞き取ったばかりだからな、ちと続けるには辛いものがさ。
このことを2人へ告げると感動してくれたよ。
まさしく天才だとさ。
そうかぁ…俺って天才だったのね?イヒッ。
ちょっと自慢気になっていると、食事となるようで…
「せっかく飢餓感で才能が開花されつつありますのに、ここで食事を摂られるのは勿体ないですわ!
食事を抜いてみては如何でしょう」って、トンでもないことをなっ!
いや、勘弁してぇなぁ~
もう腹ペコペコで背中とお腹が引っ付くぞってレベルやでな。
「いやいや、それは流石に勘弁していただけませんかね。
こんだけ腹が減るのは健康にも良くないでしょうし」
拝み倒す訳ではないが、気分はさ、そのレベルやでな。
まぁ懇願する招かれ人に対し無理強いすることはなかったようで…無事スープが運ばれてきたよ。
良かったよぉ~
しかし…このスープ…実に、実にぃっ、良い薫りがな。
これは、あれだ、アレ。
食べたことは無いが、話しに聞いた究極のスープである佛跳牆に相当するのではなかろうか?
なにせ佛跳牆は「自分に厳しくある修行僧でさえ、その香りをかぐと我慢できず寺の壁を跳び越えて来てしまう」ということから名付けられたとう芳しきスープらしいからな。
それは佛跳牆と言う呼び名が体現しているとも言えるな。
なぜなら、「佛」が僧侶、「跳」は跳ぶ、「牆」は壁や塀という意味であり、先の説明を名にしたと言えるのさ。
その芳しさに優るとも劣らないと思える芳しきスープ。
目の前に置かれるとクラクラしてしまうよ。
誘われるように匙で掬い口へと…なんだろか…この痺れたとも感じる感覚は…
薫りの暴風を掻い潜り、滋味深く染み透るほどの旨味の奔流に翻弄され、ふわふわと…
いつの間にか掬い終わったスープ皿を、カチカチと匙で掬っている自分を見付けた。
なにこれ、こわい。




