神隠し142
育った生き物と言ってもさ、何を創製するかなんだが…
「魚介類は、昨日失敗したからなぁ~」
全て生きてない状態で創製された訳だが、死んだ訳ではなく最初から生きてなかったんだよ。
まぁ、凄く新鮮でさ、美味しゅうございました、じゅる。
結構な数を種類別に創製したため、俺付きの皆へ行き渡ったみたいでな、中には期待の目で見てる子も。
欲望に忠実的なのね。
まぁ、失敗した魚介類は候補外だとしてだ、何をって考えてっとな。
「危険生物は止めてくださいましな」って、ヒューデリア嬢がな。
俺、そんなに信用ないかな?
訊かないよ、頷かれそうなんでな。
「分かってるんだが…生きてない状態で創製されたらさ、いきなり死体が現れるんだぞ。
俺は食材として魚介類を見馴れてんだがな、流石に陸生動物の死骸が現れるのはキツいかな」
そう告げるとな、みんながキョトンと。
いや、まさか…こいつら…
「葵天?
不思議なことを申されますね。
葵天も肉を嬉々として、食べてらっしゃったではありませんか?」ってさ。
「いや、確かに肉は食ったし美味かったぞ。
それと死体に何の関係があるんだ?」
俺が首を傾げると、皆も首を傾げる。
なんだろね?
「肉を得るなら狩るしかありますまい。
誰もが狩へ同行したことがある筈ですぞ。
個人宅で飼われておった家畜を捌く場合もあるとぞんじます。
聖女様も、元の世界で立ち会われたことがあると、申されていた筈ですが…」
マジかぁ!戦中組ぃっパッねぇなっ!
とは言え、戦中組と一緒にされては、堪らんわいっ!
「いやいや、何時の時代だつーのっ!
まぁ、そう言う経験をする人が皆無とは言わんよ。
だがな、俺達の世界では…」
そこから色々と説明をな。
いや、そのな、精肉され切り分けられた肉がバック状態で売られてるったらさ、パック状態が理解されなかった。
なのでパック肉を創製して説明ね。
何気に便利だな、創製って。
魚の切り身しか見たことのない子供が、切り身が海を泳いでると思い込んでた話をすると、皆さん唖然とね。
世界が違うと言うか、日本が特殊と言うのか…
まぁ、俺が陸生動物の死骸には馴れてないことは、理解して貰えた、貰えたのだが…
「でも、できない訳ではありませんわよね?
その程度のことには、馴れていただきませんと」って、ヒューデリア嬢がね。
こ、こやつ…
でもね、皆さんが頷いてらっしゃる訳で…遣るしかないのか?
では、なんの死骸を…じゃねぇ!死骸はイヤだかんなっ!イヤでも生きてるのを。
そして死んでいてもダメージが小さいヤツをだな。
猪はどうだろうか?
だが、アレは生きていたら、結構危険だぞ。
瓜坊は死骸として見るのはイヤだ。
そう言う意味では、ペンギンとかもイヤだし、仔犬や仔猫なども勘弁だな。
そうなると…
「クケっ!?コココッ、コケ。
コケコォッコー」って…
うん、金の雄鶏がね。
続いて金の雌鳥さんを番として…
はは、生き物…創製、でけちまったよ…
どないしょ?




