神隠し141
昼食を終えた俺は、ユラちゃんに乗り移動を。
第1宮の屋上には、既に鳥車がスタンバイしていたよ。
早速、鳥車へとね。
ユラちゃんは、俺が背から降りるのが気に入らないみたいだ。
だが、鳥車の入り口には、ユラちゃんへ俺が乗った侭で通れるほどの隙間はない。
っかな、鞍を外した裸馬状態でないと、ユラちゃんを入り口へ通すこともな。
ユラちゃん自信も、それは解っている素振りではある。
でも気に入らない。
つまり、入り口を広くしろと?まさかね。
なんだか訴えるような瞳に首を傾げつつ、鳥車の居間へと。
そして、ソファへと収まり作戦会議ってね。
鳥車は既に空の上。
相変わらず、何時飛び立ったのか分かりません。
取り敢えずはだ、午前の検証で、美味い卵が創製できることが分かった訳だ、うん。
んっ?違ぇ?
「葵天…論点が、ズレておりますよ。
卵を創製して頂いたのは、生物創成が行えるかの検証でございます。
決して、滋味あふれる卵が創製できるを、検証した訳ではございません」ってさ。
「ありゃあっ、そうだったけか?」
素っ惚ける訳ではないんだが、素で美味い卵の創製気分だったよ。
そりゃあさぁ、あれだけ美味い卵料理を食べた後だと、美味い卵一色になるわさ、なるよね?
「兎に角、生物の創製は行えてしまう、っと言う結果になった訳ですが…」
「あっ!そうか…孵化する可能性が、あるからだな」
「さようでございます」
いやアリンさん、話をブッた切ったのは、確かに悪かったけどさぁ、そがぁに怒らんでも…
「でもさ、孵化に成功した訳じゃないんだから、本当に生物創成ができると決まった訳じゃないよね」
そう告げるとアリンさんがさ。
「孵卵器へ入れた段階で卵が弾かれないと言うことは、孵化する可能性が高いことを示します。
統計では95%以上の確率で孵化いたします。
あれだけの卵全てが孵化しない確率5%となるとは思えません」ってね。
そう言やぁ、この世界の孵卵器は真操具で、卵が生きているのか、死んでいるのかを判別できるんだっけか?
元の世界でも孵卵器が、同様のことを行えるんだろうか?
だとしたら、どうやってだ?
卵黄が雛になると勘違いしている者も居ると聞く。
だが雛の肉体となる蛋白質は白身の方であり、卵黄へくっ付く形の胚を中心に体が形成されて行く訳だ。
卵黄は胚が白身を元に体を形成するためのエネルギーであり、生物へは至らない代物なんだよ。
よく魚の稚魚が腹にオレンジ色の袋を持ってるだろ、アレも卵黄だな。
つまりだ、体の形成が始まる前は、卵黄へ引っ付いている胚で生死を判別しなければならない訳だ。
いや、殻の中で卵黄へ付く胚にて判別って…無理じゃね?
それが、こちらの世界では行えるてぇんだから驚きさね。
兎に角、孵卵器理論にて、俺が生物を創成できることは分かった訳だ。
では、次の検証なのだがな。
育った生き物を創製できないかと。
育てる手間が不要になれば酪農家は助かるだろうさ。
まっ、やってみるかね。




