神隠し140
衝撃的な中華風茶碗蒸しの余韻に浸っていると、メインの料理がね。
天津飯ってヤツだな。
間違っても三つ目のマッチョではないからな。
卵スープが添えられているが、まずは本丸だろう。
こちらも中華匙である蓮華で掬う。
うや?卵の下は白米ではなくチャーハン?
野菜も混ざっているが、卵チャーハンだな。
卵尽くしと言うヤツかね?
ほっ!コイツは…
恐らくは、だがな。
小梅、ザーサイ、レタス、キノコ、チャーシュウを、各々の食感が楽しめるギリギリの大きさに切ったら物が混ざっているな。
食感もだが、濃厚過ぎる卵の味に対するアクセントとして際立っている。
これらの具が、味わいに変化をもたらし、旨味を昇華させとるわっ!
確かに黄金卵は美味い、いやさ、美味過ぎる。
だから味が黄金卵一色となり、味の起伏がな。
それを、味と食感が異なる具材にて打破している訳だ。
白米だと、天津飯の卵部分に塗り潰された味になっていただろう。
ま、それは、それで美味そうではあるが、間違いなく、こちらの方が美味いぞ!
いや、美味かったぞっ、っとな。
何時の間にか完食ってね。
まだ食っていたいのに、既に腹がね。
そら茶碗蒸しと合わせたら結構な量となるから当たり前か…
そんな俺達の前へ黄金色の餅がな。
何も掛かってないし、付ける代物もない。
取り分ける小皿もないんだが…まぁ、それほど大きな器でもないし、その侭で食べても良いんだがな。
俺は箸で、アリンさん達は匙で頂くことに。
頂く、頂くぅ、頂きたいんですがぁ!
んじゃぁこりゃぁっ!
全く箸で持てんぞっ!
皿にも引っ付かないから、ツルツルと逃げる、逃げる。
頭きたっ!
こうなりゃ犬食いだっ!
下品だが、皿から直接ね。
なんとか口へと。
ういやぁっ!顎に力を入れんと、餅が、餅がぁ、逃げるぅっ!
歯から、スルスルと逃げようと…
ぬぐぅっ!逃がすかぁっ!
何気に伸びる餅さんが、突如、アッサリとプッツリと切れる。
あや、意外。
もちもちって感じだが、歯にも、口内へも、むろん舌にも引っ付かないためか、サラリってね。
モチサラ、うん、モチサラって感じかな?
うや、新しい。
変な餅だぞっ?って思ってたらな、この餅は卵を使った餅で、三不粘て言うらしい。
異世界にはさ、変わった料理が…えっ?
この料理は、招かれ人がらの伝来料理?
って、ことは…元の世界にも存在すると?
知らんかったぜっ!
って…箸にも、皿にも、歯にも引っ付かない…
先輩が昔に読んだ週刊少年チャ○ピオ○に掲載されてた鉄鍋○ジャンっう漫画で、引っ付かない料理が載っていたのを、食べたがってたが…
もしかして…これかっ!?
先輩へ連絡できたら自慢してやるんだが…電波届かねぇかなぁ、クソッ!
そんな、摩訶不思議な三不粘を頂いて昼食を終える。
実に、実にぃっ、美味かったっす。
料理長が言うには、黄金卵を使った三不粘は、何時もより更に引っ付かない物になって焦ったのだとか。
つまり、黄金卵が味のグレードを引き上げてたと、言うことなのだろう。
しかし、大満足な昼食でした、はい。
では、寛ぎ処で寛いで…えっ?午後からの検証が残ってる?
さいですか…クソッ!




