神隠し136
「笑いごとではありませんことよっ!
なんで、そんな生き物を創製なさるんですのっ!」
ってヒューデリア嬢がさ。
いや、ヒステリーはイカンよ、ヒステリーは。
「なんでって…架空の産物を試すんだったよな。
だから鶏ってことでな」
そこに山が在るから、ではないが、課題が架空の産物だったから、なんだけどね。
「しかし…孵化するんだなぁ~
黄金として産まれた卵だから全て金だと思ってたんだよ。
これって、割ったらどうなってんだろ?」
疑問は尽きません。
「なれば、複数創られてみられては如何でございましょう」って執事長がね。
確かに、検証は必要だよね。
「そうだよね。
元々、創製で行えることの検証なんだからさ。
遣るべきだよね」
そうだよね?
それで創製しました黄金卵が5つってな。
「何で5つなんですの?」ってヒューデリア嬢がね。
「そら、もちろん、検証するためさ。
1つ目は、卵掛け御飯にするだろ。
2つ目は、目玉焼きな。
3つ目は、オムレツ、むろん、プレーンな。
4つ目は、茹で玉子。
ラストは温泉卵ってね。
これだけ検証すれば、大丈夫だろ?」
「なんでぇっ!食べることが前提ですのぉっ!?」
「いや…そこにぃ、卵が、あるから?」
「何故、疑問系?」
五月蝿いよっ!
でな、この世界にはTGKはない訳で…何それ?ってね。
そいつはイカンってことで…
まずは黄金卵を器へと割り入れます。
殻が非常に頑丈っか硬い!
そら金っても金属やんね。
そら硬いやね。
良く観察してみるとだね、脆い箇所も。
アイスピックで突付きながら殻を割り、器へ卵をさ。
いや…その、なんだぁ~
黄身が黄金色なのは良いさ。
けどね、白身などの黄身以外も全て黄金色ってのはさぁ。
いや、ここで怯んでいては、男が廃るってね。
創製した牡蠣醤油を入れて掻き回し、卵液へと。
魚沼産コシヒカリを羽釜で炊いた銀シャリへて掛け回し…
「ちょっと、お待ちくださいましなっ!
まさか、卵を生で!?」
ヒューデリア嬢が悲鳴を上げるように。
「大丈夫だよ、この卵は日本基準の卵だからね。
俺が育った国では、卵に対する衛生基準が高くてね、みんな普通に生で卵を食べてるからさ」
いや、そがあに唖然とせんでもさ。
まぁね、生卵を食べれる国は限られるかんなぁ~
海外で生卵を買ってTGKするのは絶対にダメ!
食中毒まっしぐらってね。
サルモレラ菌などがウヨウヨってね。
マヨネーズにすれば、酢が菌を殺すから食えるけどさ、酢をケチったら食中毒だかんね。
みなが信じられないった顔で見ている中での実食です。
口へと入れ…
「うっ!」
「大丈夫ですのぉっ!」
「旨いっ!」
「紛らわしいですわっ!」
いや、そがぁに怒らんでもさぁ…
しかしだね、実に濃厚なのにクドくない。
今迄に食べていた卵掛け御飯は、いったい何だったんだ?っうレベルの味だよ。
名古屋駅前の地下に握りたての結びを食わす店があるが、あそこで名古屋コーチンの卵掛け御飯を食べたことがある。
そりゃぁ美味かったさ。
だがなぁ…この黄金卵のTGKには…
そら童話の世界から現れし摩訶不思議な卵を使ったTGKとはねぇ…
しかし…旨ぇなっ、このTGKはよぉっ!




