神隠し125
「さて、お次は…」
楽しくぅ、なってぇ、参りましたぁっ!
何をしようかと、ハイテンションにてワクワクし始めた俺へ…
「ストォーップ!ストップ。
中断して下さい、葵天!」って、アリンさんがね。
どったの?
「いきなり、色々と創り過ぎです!
既に収拾が付かなくなってきています。
いったん城へ戻り、方針を考えた方がよろしいかと。
宰相府を通し、創製方針も検討していただく必要もございますから」
あらら、テンションが上がって、これからだったのになぁ~
でも、俺が持ち込んだ荷物を全て複製創製したかんなぁ。
俺的には下着類が複製できたのがありがたい。
化学繊維も使用された衣類は、意外と着易かったりするんだよ。
後、こちらで喜ばれたのが、マッチとライターだな。
マッチはメタルマッチではない、普通の方な。
こちらは、借り受けた登山用品に紛れていたよ。
厳重に封してあったから中を確認して無かったんだが…まさか、マッチとライターにライター用ガス缶だったとは…
てっきり、先輩の趣味本などを隠して、取り除き忘れたのかと…
宿で確認してやろうと思って忘れてたんだわ。
メイドさんに、荷解きを手伝って貰ってたら発覚しましたとさ。
登山用品だけでも様々あったが、これへ物産展で手に入れた代物が追加でな。
こちらの世界では、新たな金属が3種類も…
うん、遣り過ぎか?
でも、この熱いパトスは、どうしてくれる?
そうだ、仙大豆を創ろう、そうしよう。
って…「にぁぁぁあっ!」って、思わず声がさ。
待て、俺っ!慌てるのは、まだ早いっ!
見た目は、ただの大豆だっ!
これが、仙大豆だと決まった訳ではあるまい!
「葵天?
今度は、なんですの?」って、ヒューデリア嬢がさ。
「いや、なんでもないよ」っと、口笛吹いてみたり。
「下手くそな口笛では、誤魔化されませんわよっ!」
なんですとぉっ!下手くそとは失敬なっ!
「葵天が、変な奇声をあげる時は、何か仕出かしたに違いありませんわっ!
白状なさって下さいましなっ!」
変な奇声って、アータ…
って、ん?
そう言えば…前にも思わず「にぁぁっ」ってたか?
知らんかった…俺の先祖に猫が居たなんて…
「それで、何をしでかしたんですのっ!」
追及の手が緩まない。
くっ!いや、諦めるなっ!諦めたら、そこで終了ですよっ!
まぁ、見た目は、ただの大豆だしな。
「いや、この大豆が創製できただけだよ」ってね。
「ただの大豆ではありますまい」って、横からアリンさんがねっ!
伏兵かぁっ!抜かったわっ!
「いやいや、見ての通りだが?」
効能は、試してないから分かりません。
「全く、なんで怪我をするのかしらね。
薬を持って早く来て!」なんて声が。
何かあったのか?
どうやら荒野に出たがったユラちゃんを抑えきれず、鳥車から出したんだが、世話の最中にユラちゃんに軽く引き摺られ、足場が悪く転けたのだとか。
ああ、メイドちゃんか…擦りむいた程度だけど…
「ちょっと、この豆を食べてみて」って、メイドちゃんへ。
いや、俺が渡したとは言え、頷いて直ぐ様、口へ入れるとは…
「あれ?怪我が…たしか、ここに怪我を…
あれれ?今朝、料理の練習で切った傷と以前の火傷の痕が消えてる???」
やはり、仙大豆だったのかぁ!
空想上の代物は、創製できないんじゃなかったのかっ!
何よりぃっ!竜玉アイテムが、何故創製できるんだぁっ!
ならば、亀さん派も…できませんでした、orz




