神隠し113
離陸してから程ない時間でタラーザ荒野へと。
昨日の混乱は収まっているみたいだな。
レクイア鳥が好物のラルブムも見掛けるが、狩るなら考えないと騒動になるだろう。
気を付けよう。
昨日の続きとして、攻撃魔術を妄想実現化したいところだが、ヒューデリア嬢の目が恐いので止めておこう。
でっ、な。
単純に創造系を行うことに。
いや、頭悪いことを言った自覚はある。
創造を単純って、何ってヤツだわな。
けど、実際に想像で創造が行えているからな。
別に上手く言ったつもりも、駄洒落でもかいからなっ!
なんか突っ込まれた気がしたが…なんだろね?
まぁ、それはそれとしてだ。
妄想したことが実現化することは分かってはいる。
だが、構造を理解してないと無理かなと…
だがな、俺は気付いたんだよ。
○RANGINAやカル○スソーダの成分なんぞ、俺は知らんし、ペットボトルの作り方も解らないことにさ。
そう考えたらさ、構造が解らなくても行けるんじゃね?ってね。
とは言え、何もなしでは、ハードルが高いてぇもんさね。
だからさ、腕にしている腕時計をな。
こいつは就職祝いに両親から貰った品で、俺のあ気に入りである逸品だ。
クォーツ時計でアナログ型式だが、中々に洒落た代物だぞ。
思い入れもあるし、数年とは言え愛用した品だ。
思念が関係するなら成功するんじゃね?ってね。
結果は…失敗でした。
なんでぇ~?
形はできたんだよっ、形はっ!
そっくり、その侭のイミテーションってかぁ!?
でもな、機能面がサッパリでな、全く動きません。
時計の形を模したアクセサリーとしたら、秀逸だろうよ。
だが俺は、動く時計を創りたかったのっ!クソッ!
そんなイミテーション時計を見てエドワード執事長がな。
「それは、葵天が腕に嵌めておられるのと同じ品でございますな。
全く同じ物を創りだされるとは、素晴らしい」ってね。
「いやいや、これは失敗作なんだよ」
そう苦笑して告げる俺を、執事長が不思議そうに見てな。
「さようでございますか?
私目には、全く同じに見えまするが?」
首を傾げてるな。
俺は、思わず頭をガシガシっと掻きながら…
「こいつは動いてないだろ。
時計なのに動かないのは、明らかに欠陥品だよ」
そう告げたんだがな。
「時計、と、申されましたか?」って、確認されたよ。
執事長によると、他国伝来にて時計は存在するらしい。
らしいのだが…大きな柱時計で、動力はゼンマイなんだとか。
俺の腕時計みたいな小型の品は存在しないとのこと。
しかも真操具においても、一番小さな品が腕で抱えるほどにしか小型化できてないそうな。
「このような絡繰り物が、存在するのですなぁ~」
しきりに関心している。
この世界は動力として真素が存在するため、電源をどのように得ているかなどには関心は向かなかったようだ。
そこら辺を尋ねられたら面倒だったから、助かったよ。
しかし精密機械の妄想創造は難しいやもしれんね。
行けると思ったんだが…侭ならんもんさね。




