神隠し112
朝餉処へ着き、席へと収まると直ぐに朝食が配膳された。
今日は和風なんだね。
魚の塩焼きに冷奴、だし巻き卵に香の物。
これへ飯と味噌汁が付く。
海苔と振り掛けは、お好みでってか?
俺は、卓上へ用意されていた七味を味噌汁へパラリッてね。
風味は大事よ、大事。
朝から美味しくいただきましたとさ。
俺が食事している間、ルリは籠の中へね。
餌を貰ってご機嫌だが、俺から離され不満ってね。
難しい年頃なのね。
朝食を終えた俺は出掛けることに。
昨日の続きではないが、タラーザ荒野にて真素操作の実験をね。
昨日は騒動になったからさ、今日は自重しますよ、僕ぁっ。
第1宮の屋上へと向かうと、既に鳥車が待機していたよ。
レクイア鳥の結界内へと到ると、レクイア鳥の歓喜している感情が感じられたよ。
「今日もよろしく頼むな」っと、意思を込める気持ちで告げると、レクイア鳥から感極まったような感情がな。
それと同時に、レクイア鳥が歓喜の囀ずりを!
こんな声で鳴くんだな。
っか、凄く大きな鳴き声で、驚いたよ。
「レクイア鳥って、このように鳴くのですわね。
私、初めて聞きましたわっ!」っと、ヒューデリア嬢が驚いたように。
「繁殖期に番を見付けた際に発する歓喜の鳴き声と似ておりますな。
しかし…これは、出発が遅れそうですな」って、エドワード執事長がね。
いや、なんで?
不思議に思ってると、ルリとは違うパッジャー鳥が、感応室より飛来して来たよ。
何かあったのかね?
執事長がパッジャー鳥より文を取り出し読んでから告げる。
「やはり、調教室にて被害があったようですな。
調教師が数人ほど気絶しておるようでございます。
気が付くまで、しばらく待っていただきたいとのこと」
あやぁ~思わぬ被害がっ!
確かに頭部へ設置された感応室だと、さっきの鳴き声は爆音に近いんじゃないか?
そら、気絶もするわな。
したらな、執事長が…
「どうもレクイア鳥の大きな鳴き声と、爆発的な歓喜の感情を浴びせ掛けられ、気絶したようですな。
私目には分かりかねますが、調教師はレクイア鳥の感情を感じ取り、レクイア鳥を御しているのだとか。
余りにも大きな感情にて、許容を越えたものかと」
え~っと…もしかして、俺がレクイア鳥へ語り掛けたせいだったりして…
まさかね?
ただ、可能性があるので、無闇に意思を伝えるのを止めることにね。
自重しますです、はい。
そんなことがあったので、鳥車へ乗り込み待機ってね。
ユラちゃんも相手しないと拗ねるので、ユラちゃんを入れた鳥車内の部屋で相手をな。
っか、ルリ、張り合わないのっ!
そしてな、鳥車と言えば○RANGINAって感じで、皆にせがまれてな。
みんな好きだねぇ…
俺はカル○スソーダにしましたけど…なにか?
したらさ、みんなが狡いって…知らんがなぁ~
なんてことをしている間に離陸してたよ。
感応師さん達、ご苦労様です。




