神隠し109
俺に懐いたパッジャー鳥に対抗して、コニーのユラちゃんによる擦り寄りが激しくなる。
それを止めようとメイドちゃんが必死だが、全く制御できずにアワアワしているのが微笑ましいな。
まぁ、メイドちゃんの先輩メイドさん達が、然り気なくユラちゃんを抑えてくれてるからさ、微笑ましく見れてるんだけどね。
とは言え、何時までも、ここへ止まる訳にも行かないだろう。
エドワード執事長も、そう思ったようでな、ユラちゃんを軽く撫でながら轡を取り、ユラちゃんを抑えてくれてる。
「では、参りましょう」ってね。
俺はユラちゃんの背の長椅子鞍へと座り移動を始める。
ゆらゆらと揺られながら葵層への移動は心地好い。
いや、心地好かったのだろうな。
いつの間にか、うつら、うつらっとね。
結構、疲れてたんだなぁ~俺。
気が付いたらさ、葵層の寛ぎ処へとね。
エルドリア・メイド長に起こされて、ユラちゃんの背から降りる。
なんだかさ、ユラちゃんが寂しそうだけど、仕方ないよね。
まぁ、レクイア鳥の結界内のように、感情を察することは不可能だけどさ、雰囲気くらいはね。
寛ぎ処では、冷たいお茶が用意されており、軽く摘まめる菓子が添えられていた。
席へ収まり茶をいただくと、清涼感溢れるスゥッとした味で、美味い!
添えられた菓子も、清涼系でな、熱の籠った体が癒される思いだよ。
一息入れるとな、疲れと暑さで減退していた食欲が回復したようで、腹が減ってきたよ。
頃合いと感じたのだろうか?
「では、晩餐処へと、参りましょう」って、執事長がね。
促されて席を立ち、再びユラちゃんの背へと。
いやさぁ、ユラちゃん?
君はさ、なんで、そんなに嬉しそうなのかね?
っか、パッジャー鳥が肩から離れないんですが…これは良いのか?
まぁ、害はないし、懐いて可愛いから放置してるんだが、ユラちゃんに乗ると擦り寄るのは如何かと。
ユラちゃんはユラちゃんで、パッジャー鳥をライバル視してるキライがね。
っか、俺の取り合い?マジで?
まぁ、板挟みみたいにはならないからさ、別に良いんだけど…本当に、どうして、こうなったし?
晩餐処へ着き、入るためにユラちゃんの背からね。
降りた瞬間に、エドワード執事長にてパッジャー鳥が回収される。
素早い、っか、凄ぇ~
パッジャー鳥も籠へ入れられてキョトンっと。
状況を理解して騒ぎ始めると…
「葵天は、これから晩餐にございます。
控えるように」って、パッジャー鳥へ諭すようにな。
いや執事長?相手は鳥だよ?
だがな、執事長が諭すと、パッジャー鳥が大人しくね。
通じた…のか?
俺が驚いて見ているとな。
「パッジャー鳥は利口な鳥ですから、あの程度は理解いたします」っと、エルドリア・メイド長がね。
いや、利口過ぎるでしょ。
パッジャー鳥が籠へ入れられるとな、ユラちゃんが納得したように大人しくなる。
これって焼き餅ってヤツだったり…まさかね。
そんなことはあったけど、俺は晩餐処へとね。
昨日とは違う部屋だけど、食事の度に部屋が代わるのかな?




