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能力者達  作者: 蒼田 天
第三章 十二支決戦篇:上
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対人戦闘訓練Ⅱ(4)

   4


 額をペチンと叩く音に不快感を覚え目を覚ます。目の前にはふくれっ面のユイがいた。

「腕、傷だらけですよ?」

「ユイはふくれっ面でも可愛いなー」

 ユイが施術用のメスを手に取る。

「流石にそれは痛いかな」

「じゃあ、今後気をつけて下さい。あんなに無茶した戦い方、頭おかしいんじゃ無いですか? 影さんもなんか言って上げてください! 私がモニター見てたらとんでもないことをやっているじゃ無いですか? あと、そういうのは……冗談とかではなく、面と向か……って、言って欲しいです……」

 確かに、今回のは無茶があった。そもそも、リョー相手に威力が出せないものは通用しないのは理解していた。スピードを活かした戦い方がリョーには有利なことは分かっていた。

 それでも試したかったんだ。自分の今使える技を。

 結果はあまり良くなかったが、収穫もあった。発動に時間が掛かる事や武器化が末完全なこと。充分な火力が引き出せていないこと、課題は山積みだ。

「ソーヘー、私の話が上の空ですね。これは、メスでグリグリして欲しいってことなんですか?」

「聞いてる。OK。分かってる。承知している。怪我多くてホントごめんなさい」

「はぁ、話少し抜けてるじゃないですか。いいですけど。はい、ある程度の手当が終わりました」

「悪いな、いつも。次の組み合わせは?」

 傍らに置いてあるジャケットを手に取って質問する。

「ノブとメイでしょうかね。それともノブとリョーですかね」

『次はソーヘーとメイとでやるから、準備しておいて』

 連戦か。丁度いい。血闘術がどれ程の幅で使えるのかも試したかった。

 メイとだと相性が少し悪いかもしれない。近距離での銃撃戦も試してみたかった。

「くれぐれも無茶をしないようにしてください。メイにも伝えておくようにお願いします。今片付け中なので、あと一時間程休憩を挟んでください」

『了解。ちびロボの試験運用も試してみて』

「準備に更に時間掛かりますけど大丈夫ですか」

『構わないよ。メイにはオレから伝えとくよ』

「ということですので、ソーヘーはこの後の訓練の対象となりました。移動するのでしたら手配しますけど、どうしますか?」

 一時間も時間があるのなら、少し血闘術の鍛錬でもしようかと思ったけど、血液をここで減らすのは良くない。

「ユイ、なにか手伝えることある?」

「え、でしたらこの部屋と機材室の片付けお願いします」

 機材室の前はドラム型のドローン数台がモーター音を響かせながら廊下を往復している。

 機材室の中には開きっぱなしのパソコン機器と空の木箱、エナジードリンクの缶が二本転がっている。殺伐とした空間になっていた。朝覗いた時は片付いていて綺麗だった筈なのに、六時間程でこうなったのかと考えるとユイの忙しさが伺える。決してそれだけが原因ではないだろうが、そこには触れずに片付けを開始する。

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