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能力者達  作者: 蒼田 天
第三章 十二支決戦篇:上
53/60

対人戦闘訓練Ⅰ(1)

 修正です。

   1


 目が覚める。

 体が軽い。内側がポカポカする。

 感覚が鋭くなっていく。

「ああ、ソーヘーおはよう。よく眠れたか?」

「んー、まあ、多分?」

「どうして疑問形?」

 リョーに声を掛けられて一気に覚醒していく。

「今どうなっている?」

「今は、メイとコマが準備を始めた。もう少ししたら起こそうと思ってたんだけど……手間が省けたよ」

 よっこらせ、と立ち上がると刀を拾いあげる。

 サクッと腕に切り傷を入れる。

「ふぇ?」

「あ、切りすぎt……」

「何やってんのぉ!?」

 リョーの声が裏返って変になった。

「いや、ホントに出来るかなって?」

「何を言ってる? いいから血が……止血……包帯……いや、投薬?」

「いや、大丈夫だから」

 想像。血液そのものを操作。硬化。形状を刃に。

 上手く、はいってないけど出来た。

 でも──

「ドロドロ、というか、血液」

 形は成しているような気もする、がドロドロと血液のまま。

「うわ、何やってんのさホントに」

「うーん、出来るはず、なんだけど」

 足元に大量の血液が滴り落ちる。

 イメージを変えよう。あの時見た赤い糸。

 想像。靱やかで伸縮、それでいて硬い。

 ピンと張り詰めた糸というより棒。上手くいかない。

 頭を掻きむしる。想像がズレている。力から創造する武器とは扱いが異なるのか、形状が上手く定まらない。

 何か、糸状の物。強靭であり伸縮するような。身近で、想像しやすい、糸状の物。

 今触れてるじゃないか。

「髪の毛を元に想像を膨らます……」

 繊維は複数で靱やか、かつ強い糸状。身近にこんないい例があるとは思わなかった。

 創造の構築。複数の繊維で一つに纏めあげる。

「──出来た」

 単一の物として考えるのではなく、組織と構成から創造を構築する。

「これなら」

 血液を糸から鋼材へ。反りや長さ、刃の薄さ。想像の幅を先程よりも広く。

 垂れていく血液は重力を無視して浮き上がり、反り返る刃となる。

「んぁ、出来たか」

「ソーヘー」

「ん?」

「止血をしてくれ」

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