対人戦闘訓練、開始(3)
3
たったの一分の出来事に俺は呆然としていた。ノブの奇襲、その後の攻撃。誘導の様にも思える移動、素早い判断と迎撃。ハンマーを受けた直後の攻撃に対して、飛ぶ前に事前に落として置いた鎌を《武器操作》で操り腕を切り飛ばし、能力を解除し持っている鎌を軽くする。そして脚を切り落とした。一瞬で能力を切り替えての攻撃。用意してあったような、はたまたこうなることが予想出来ていたかのような闘いだった。
「リョー、腕はちゃんと動くか? 痛みは?」
「大丈夫だよ。今のところ少し力が入れにくいだけ」
ノブは安堵の表情を浮かべる。
あの計算の高さ。無駄の少ない動き。人を確実に仕留める闘い方。随分と手馴れた能力の使い方。何よりあの目。殆ど無感情。仲間を斬ることに抵抗がないような、感情のない瞳。
やってみたい。
「ノブ、次は俺とだ」
「別にいいが、手加減はしないぞ」
相打ち、もしくは一歩手間で負けるかもだけどやるだけやってみるか。少し試したいこともあるし。
「済まないけどユイ、準備よろしく」
『構いませんけど、片付けがまだ終わってないので少し時間を下さい』
「ああ、任せちゃって悪い。今度なんか買ってくるよ」
『じゃあお菓子を。ロッキーがいいです』
通信が途切れるとノブが呼ぶ。
「少し二人で話しないか?」




