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能力者達  作者: 蒼田 天
第三章 十二支決戦篇:上
36/60

一騎当千(1)

     1


 生活をしていく上で、日本では金がなければ生活は困難と言えるだろう。食費に電気、水道等の光熱費。税金などなど。

 だからこそ、年齢が最低十六歳の少女から二十歳以上の成人までいるこのシェアハウスでは、金銭面の問題は毎度のこと深刻である。

「済まないが、集金をして欲しい」

「また、突然どうした?」

 今までに一度だけあった。経済的に不安定で突然の集金。そしてこのように集金を突然すると、毎度の如く蓄えのある人はすぐに渡せる。それでも払えない者もいる。

「オレはパスで」

「おい」

「いやいや、突然すぎるでしょ」

「それは否定出来ないけど、それでも明日……いや、明後日までに払ってくれ。じゃないとどこかにお前が食料を取りいくことになるぞ?」

 いつものことだが、ノブは金を持ってない。

「なんでオレ? 移動の事考えるとソーヘーの方が良くない?」

「確かに、じゃあ……」

「いやー、こういうのは払えない人がやるんだよー」

「それも、そうだな」

 俺はわざわざ野生に狩りに行くなどごめんだ。

「となると、いつも通りユイを除いて一人を残して全員でバイトだな」

「てことは」

「留守番中のやつは《一騎当千(いっきとうせん)》だな」


【一騎当千】

 物達が攻めてくるのを一人で対処すること。


「今回はコマに色々送って貰えればその必要もないだろ」

 確かに駒に戦ってもらえば、一人で百を超える物達を倒す必要はない。だけど、

「俺、《一騎当千》してみたい」

 その場が固まる。

「《一騎当千》は本当に命懸けだぞ?」

「立候補するようなものじゃないぞ? アルバイトの方が何倍もマシだぞ?」

 ノブがアルバイトの方がいいというくらいだから相当だろう。

「それでもしてみたい」

「そこまでいうんじゃあ、決定でいいか?」

「異議なし」

「ソーヘーがいいなら」

 全員が了承し俺はお留守番ということになった。

「でも、三日も物達は来てないぞ? 本当に数が千体を超えるかもしれないぞ?」

 確かに、そういえば、そうだな。

 ──やばいかも。

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