-第二章エピローグ- 戦いの序章
これで第二章完結になります。
初稿から一年八ヶ月……。時間経過の速さに驚く。
「はーい、おはようございます」
二日酔いと朝の戦闘もあり非常にダルそうな声を出すノブ。
「もっと……やる気を出した方……がいいんじゃ……ないか……」
さっきから青い顔で口元を手で覆うメイ。
「分かってる。切り替えて……はい、まずはコマから、敵の大元となる目的、数、能力を教えて貰えると有難い」
『目的は私にも分からない。ただ、敵の頭首、つまりリーダーの能力だけなら分かる』
置いてある顔文字がディスプレイに映っているタブレットPCからリアルタイムでコマから通信が繋がっている。
『能力は《略奪》。文字通り他者から能力を奪う能力』
「奪うって、奪ったら……」
『当然、行使可能。下手したら私達よりも扱いに長けている可能性もある』
「そんな、チートじゃん」
「敵の数は?」
『能力を持っているのはリーダーと幹部格の人間だろう。それが十三。そのうち、リーダーは能力が幾つあるか分からん。それから中隊、小隊に別れるとなると……流石にそこまでは分からない。だが能力を持っている人間以外にも戦闘要員は数多くいる』
「リーダー以外の能力は?」
『それが……ソーヘーの《纏い》に似た能力を持っている人間が一人。他の動物への擬態化。あとは転移系の能力を持っている人間が数人いると思う。あとは、確信は出来ないが、思考を読み取る能力を持った人間。物体を変形? 溶かす能力』
個々が能力を一つだけ持っていると考えても、まだ少なくとも八の能力が不明。圧倒的に不利だろう。
「そっか……こっちのことはバレてる?」
『十中八九、バレてるだろう。下手したら能力まで』
「マジか……」
ノブは少し考えるように天井の裸電球を見つめる。
「敵と接触する可能性がないとは言い切れない。街中での戦闘は極力回避。まずは一旦引くこと」
『《探知》される可能性がないとは言い切れないからソーヘーは《瞬間移動》は使わないように』
「了解」
「あとは一人でなるべく行動しないようにしてくれ。通信機のGPSは常時オンにすること。出掛ける時は他のメンバーに声掛けたりする様に」
こうして対十二支戦へと挑めるよう着々と事は進んでいた。
***
「きてくれてありがとねー」
「いえ」
「それでね、君達《化け猫》と《猫又》を数名と《酉》の所の小隊をこの子にぶつけて欲しいの」
L判の写真に写った男は《能力者達》という能力集団の一人だ。
「《酉》の小隊は全隊出撃ですか」
「《隼》小隊はその後に回すから取って置いて」
「了解致しました」
「あと《巳》の所の《コブラ》小隊を連れて行って」
「伝達しておきます」
巳のところは頭が狂った者が多いからなるべく勘弁して欲しいが、多少は話の通じる猫又を中継役にして話を通そう。
「次に、《戌》の所だけど全員待機ね」
「伝達しておきます」
「それから残りの《猫》の小隊は《巳》の所の《アナコンダ》と一緒に待機ね」
猫様の頭の中にどんなプランがあるのかは理解が追いつかない。なんでも私は伝えられた計画をこなすだけだか、計画が終わって分かることが多い。というか計画終了後でも分からないこともある。
「了解致しました」
あとは一ヶ月後に向け牙を研くのみ。
***
「さあ、世界を創り替えましょ」
これで第二章は終わりとなります。
次回からは新章『十二支決戦篇:上』に入ります。プロローグが二、三部入って長めになりますがお願いします。投稿は十一月くらいになるかとおもいます。
蒼田 天




