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能力者達  作者: 蒼田 天
第二章
32/60

-第二章エピローグ- 戦いの序章

 これで第二章完結になります。

 初稿から一年八ヶ月……。時間経過の速さに驚く。

「はーい、おはようございます」

 二日酔いと朝の戦闘もあり非常にダルそうな声を出すノブ。

「もっと……やる気を出した方……がいいんじゃ……ないか……」

 さっきから青い顔で口元を手で覆うメイ。

「分かってる。切り替えて……はい、まずはコマから、敵の大元となる目的、数、能力を教えて貰えると有難い」

『目的は私にも分からない。ただ、敵の頭首、つまりリーダーの能力だけなら分かる』

 置いてある顔文字がディスプレイに映っているタブレットPCからリアルタイムでコマから通信が繋がっている。

『能力は《略奪(りゃくだつ)》。文字通り他者から能力を奪う能力』

「奪うって、奪ったら……」

『当然、行使可能。下手したら私達よりも扱いに長けている可能性もある』

「そんな、チートじゃん」

「敵の数は?」

『能力を持っているのはリーダーと幹部格の人間だろう。それが十三。そのうち、リーダーは能力が幾つあるか分からん。それから中隊、小隊に別れるとなると……流石にそこまでは分からない。だが能力を持っている人間以外にも戦闘要員は数多くいる』

「リーダー以外の能力は?」

『それが……ソーヘーの《(まと)い》に似た能力を持っている人間が一人。他の動物への擬態化。あとは転移系の能力を持っている人間が数人いると思う。あとは、確信は出来ないが、思考を読み取る能力を持った人間。物体を変形? 溶かす能力』

 個々が能力を一つだけ持っていると考えても、まだ少なくとも八の能力が不明。圧倒的に不利だろう。

「そっか……こっちのことはバレてる?」

『十中八九、バレてるだろう。下手したら能力まで』

「マジか……」

 ノブは少し考えるように天井の裸電球を見つめる。

「敵と接触する可能性がないとは言い切れない。街中での戦闘は極力回避。まずは一旦引くこと」

『《探知》される可能性がないとは言い切れないからソーヘーは《瞬間移動》は使わないように』

「了解」

「あとは一人でなるべく行動しないようにしてくれ。通信機のGPSは常時オンにすること。出掛ける時は他のメンバーに声掛けたりする様に」

 こうして対十二支戦へと挑めるよう着々と事は進んでいた。


 ***


「きてくれてありがとねー」

「いえ」

「それでね、君達《()(ねこ)》と《猫又(ねこまた)》を数名と《(とり)》の所の小隊をこの子にぶつけて欲しいの」

 L判の写真に写った男は《能力者達(スキルマスター)》という能力集団の一人だ。

「《酉》の小隊は全隊出撃ですか」

「《(はやぶさ)》小隊はその後に回すから取って置いて」

「了解致しました」

「あと《(へび)》の所の《コブラ》小隊を連れて行って」

「伝達しておきます」

 巳のところは頭が狂った者が多いからなるべく勘弁して欲しいが、多少は話の通じる猫又を中継役にして話を通そう。

「次に、《(いぬ)》の所だけど全員待機ね」

「伝達しておきます」

「それから残りの《(ねこ)》の小隊は《巳》の所の《アナコンダ》と一緒に待機ね」

 猫様の頭の中にどんなプランがあるのかは理解が追いつかない。なんでも私は伝えられた計画をこなすだけだか、計画が終わって分かることが多い。というか計画終了後でも分からないこともある。

「了解致しました」

 あとは一ヶ月後に向け牙を研くのみ。


 ***


「さあ、世界を創り替えましょ」

 これで第二章は終わりとなります。

 次回からは新章『十二支決戦篇:上』に入ります。プロローグが二、三部入って長めになりますがお願いします。投稿は十一月くらいになるかとおもいます。

               蒼田 天

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