-番外編2- 能力者達の戦い(5)
その後、メイの料理の手伝いを三時間もさせられ、今はローストビーフの仕込みをさせられている。
「ソーヘー、手が空いたら牛乳を一リットル加熱してくれ」
「了解しました……」
IHクッキングヒーターは既に三箇所とも鍋とフライパンが選挙しており、他にもホットプレート、カセットコンロがそれぞれ二つずつ鎮座している。ホットプレートはフル稼働していて、カセットコンロも一台しか空いていない。
──ブレーカーが落ちないかが心配である。
「もっと色々ゆっくりやらないか?」
「いいや、今の内にやっておかないと、年末年始は何故かと物達が活発になるから」
迷惑極まりない。
「でも、何でわざわざクリスマスの三日も前から……」
「それもほとんど同じ理由だ。それと、少し面倒だからかな」
「面倒って……付き合わされるこっちの身にもなってくれ……」
「去年は私一人でやっていたんだ。少し位頑張れ」
確かにこの作業を一人では辛い。日頃から家事の基本を全部一人でやっているんだ。今の内に出来ることを終わらしておいて、ゆっくり休みたいのだろう。
「ソーヘー、もう少しだからさっさと終わらせるぞ。そしたら今夜はビールを飲もう!」
「いや、俺まだ十七だし」
「バレなければ大丈夫」
「巡査部長がいるでしょう」
「ああ、そう言えば警察か……じゃあ、ノブ、飲むぞ! 酒買ってこい!」
『了解しました!』
──また飲むのか……。
たまに二人で飲んでいることがあるが、完全に酔うまで飲み続けるので、次の日に頭が痛い、気持ち悪いと言っていることがほとんどだ。
「程々にしろよ……」
二人に頭痛薬や水を供給するのは俺がする羽目になるんだ。
早かれ遅かれ、俺達は《十二支》と戦うことになるのだ。敵の兵力がどれほどなのかも不明で、確実に《能力者達》よりも数が多い。そんな圧倒的に不利な状況で戦闘をするんだ。戦闘時に酒を飲む余裕も、食事を取る余裕もないだろう。
だから、今くらいは、こうやって余裕のある内は、そういう事をしておく方がいい事だと思う。
「じゃあ、最後のラストスパートだ! やるぞ!」
メイはそう言うと凄まじい包丁さばきを見せたのだった。
このメンバーでご飯を食べる想像しながらカップ麺を啜る蒼田。
次回の投稿は再来週を予定しています。伸びないように努力します。




