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能力者達  作者: 蒼田 天
第二章
23/60

-番外編- 新メンバーと誕生日(10)

     10


 そして翌日。

『作戦の決行は午後の四時だ。設置してあるカメラでモニタニングした状況で、作戦を変更する時もある。その時は各自の状況判断に任せる』

『了解』

 コマは人数分の制服を用意し、俺達はレーザーの様なものを顔に当てられて、今日の朝には特殊マスクが届いていた。

 今日は木曜日。リョーは木曜日と日曜日にはバイトをしないので今日は一日中家に居る。

 先程部屋に侵入した所、『咲良夢希』の新作の小説は置いてなかった。これで俺のプレゼントは確定。

 現在の時刻は午後二時三十分前。家を出るには丁度いい時間だろう。

「じゃあ、ちょっと用事があるから出かけて来る。留守番頼んだ」

「了解」

 ソファで小説を読むリョーにそう言うと、俺はカバンを持って外へ出た。


「こちらソーヘー。家から今出た。作戦実行まで市内の本屋で立ち読みをする」

『了解』

 俺は本屋に入って小説が置いてあるコーナーへ行き、知っている作家の未読の小説を手に取る。

「こちらソーヘー。度々済まない。時間になったら連絡を頼む。開始時刻まで本を読んでる」

『りょ、了解』

 俺はそう言うと本を読み込んだ。


 時刻は午後三時四十五分になった。

『ソーヘー、時間です』

「了解」

 俺は小説を棚に戻すと、一旦の集合場所である漫画喫茶へ向かった。

「揃ったな」

 変声機を付けた俺達は、ノブである男の喋った言葉は全く知らないおっさんの声だ。勿論顔は老け込んで深い皺が刻まれて、更には髪の毛の色は白くなっている。

「全員、全くの別人だな」

 そういったメイも女性警官らしいショートカットなお姉さんという印象だ。

「うん、リョーに動きはない」

「よし、じゃあ、行こうか」

 店員への説明とかをノブが済ませ店を出ると駐車場へ瞬間移動。

 今夜の晩餐の材料をそこにそっと置くともう一度瞬間移動。

 今は路地にある扉の前だ。

 こういう潜入等には長けたコマが先陣をきって扉へ近づく。

「取り敢えず、全員拳銃を構えろ。雰囲気作りの為に」

 囁く様なノブの声が通信機越しに届く。右腰に装着した拳銃を引き抜く。拳銃は使わないが持っているというリボルバーの銃をメイが支給した。警察の拳銃はリボルバーというイメージがある。

「鍵が閉まっているな……」

「こういう時のオレの出番だ」

 そういうと針金の様な小さな鉄の棒を両手に、扉へ差し込む。

「ふふふ、この扉で遊んでいた甲斐があった」

 鍵を開けるのを遊びといえるのかツッコミたいが、それはまた今度にする。

「リョーに変化は?」

「異常なし」

「よしじゃあ……」

 アイコンタクトで突入の準備をする。

 慣れた手つきでドアノブを無音でゆっくりと下げる。

 そして扉を一気に開放する。

 俺達は綺麗に洗って床が汚れ無いようにしたブーツで床を蹴り、廊下を二手に別れてリビングへと向かう。

 リビングが見え、そこには驚愕の表情で固まったリョーが、腰を浮かせている。

 手筈通り、コマが指揮を執る。

「手を上げろ! 火薬類取締法違反、銃刀法違反、色々出ているぞ! 貴様らをここで逮捕する。余計な動きをするな! 手を頭の後ろに、床に膝をつけ! 取り押さえろ!」

 俺とノブは駆け寄るとリョーを床に押さえつける。

「お、おい! 抵抗するな!」

「うぇ、俺何も……」

「おい、取り敢えずこいつを撃て!」

 無論拳銃は俺の時同様……。

「え、えぇ!」

 控えめな発砲音。それと共に紙吹雪が舞った。

「え?」

「誕生日おめでとう。リョー」

 ノブはいつもと違う声でリョーを祝うとそのまま立ち上がった。

「はぁ、現場より緊張した」

 コマはいいながらマスクと変声機を取った。

「あ、俺、今日誕生日か」

「流石はリョーだね。忘れてると思ったよ」

 メイは苦笑しながら階段を降りて行った。

「いやぁ、突撃してリョーが暴れたら流石に止めるのはキツいからな……良かったよ、暴れなくて」

「何はともあれ、良かった良かった」

「本物の警察だと思った……」

 俺達は笑いながら警察の制服を俺達は脱ぎ始めた。

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