助け合い
五里川でございます。
一番はじめに謝罪をします。
投稿が遅れてしまい申し訳ございませんでした。
10月中にあげたかったのですが、学校で文化祭などがありそれどころじゃありませんでした。
11月中には何本かあげる予定ですので、どうかお待ちください。
黒龍に指一本すら触れる事ができなかった俺は、オクルス達の舟の食事場で一人座っていた。
何でこんな事をしているのか。
単なる予想だが、自分を落ち着かせたいのだと思う。
もう過ぎてしまった事だ。
いくら悔しがっても、いくら思い出しても、その時間まで戻るわけでもない。
ただ落ち着きを求めているのだろう。
そんな風にただ座っていると、食堂のドアがいきなり開かれた。
オクルスだろうと思ったが、入ってきたのはクリスとパトリアだった。
二人共、人の姿をしていた。
「…まさかお前たちが来るなんてな。どうしたんだ?」
「えっと………なんだかマグナさんがすごく落ち込んでる感じがしてたから…」
答えてくれたのはクリスだった。
何故かいつもと違う。
一体どうしたと言うのだろう。
そう思っているとクリス達は俺の方に駆け寄ってきた。
俺のすぐ側まで来ると、彼女たちはいきなり俺の頭を撫でてきた。
俺は何かを言いかけたが、なにも言わずに黙った。
「ご主人様やマグナさんに何があったかはわからないですから、こんな事しか出来ませんけど…」
彼女はそう言いながら、俺の頭を撫でている。
撫でられる感覚は感じ取れないが、何故か落ち着ける気がした。
小さい頃、俺は撫でられるのが好きだった気がする。だから落ち着けるのだろうか。
頭の中でごちゃごちゃとしていたものが、徐々に薄れていく。
少しの余裕が出来た。
「…ありがとう、少し落ち着けたよ」
俺はそう言うと、食事場の椅子から立ち上がった。
「オクルスはどうなったんだ?」
「ご主人様は今、部屋に入っています。多分落ち込んでいると…」
そうか…と俺は答えるとクリス達に彼女の部屋まで案内して貰った。
オクルスの部屋はこの階の下にあるらしい。
食事場を出たすぐ右に階段がある。
その階段を降りると横並びで4人通れるほどの幅がある廊下があり、T字路になっていた。
T字路の左側には下に降りる階段があり、右側には上の階と似た構造になっていた。
左右にドアが等間隔に付いている、あの構造だ。
その奥には、ドアがあった。
あそこがオクルスの自室だと言う。
俺は彼女の部屋のドアの前に立つと、ドアをノックした。
部屋の向こうから彼女の返事が聞こえた。
「俺だ。入っても構わないか?」
「………構いませんけど」
俺はそれを聞くと、扉を開けた。
かなり大きな部屋だった。
右の壁沿いにベッドが置かれていて、左側には武器らしきものを立てているスタンドがあった。
オクルスは、ベッドに座っていた。
クリス達は自分達がいるべきではないと思ったのか、部屋から出て行った。
「………ごめんなさい…」
彼女は謝ってきた。
何かをしてしまったのか、と考えたが、オクルスはそんなことをしない。
何に対して謝っているのかもわからなかったので、俺は質問した。
「いきなりどうした?」
「何も出来なかった…」
肩を震わせながら、オクルスは言った。
俺からすれば…こんな風に言うと悪いが、彼女は凄く役立ってくれた。
俺が空の敵に対処している時に、彼女は舟に近づく敵を撃破していたのだ。
何も出来なかったというのは、間違えだと思う。
「何も出来なかったって…お前は役に立ったぞ。俺一人だったら、舟が落ちていたかもしれないんだ。凄く助かってる」
「でも………私、木島くんに頼りっぱなしだった…」
その言葉を聞いて、大体のことを察した。
彼女は、自分が未熟だと言いたいのだろう。
上で戦っていた俺の援護が出来ず、舟を守ることだけで手一杯になっていた自分の事を。
けど、彼女のおかげで、俺は全力で戦えたのだ。
未熟なんかじゃない。
「もしお前が、海堂が俺に頼ってしまっていると言っていても、俺は別に構わないと思っているんだ。俺はお前がいたから、上で存分に暴れることが出来たんだ。凄く感謝してる。そしてお前は俺がいたから、舟を守ることに集中できたんだ。頼り切るんじゃなくて、お互いを頼りにすればいいと思うんだ」
相変わらず、俺は説明が下手だと思ってしまう。
頭で考えた事をまとめることが出来ても、それを発言しようとすればたどたどしくなってしまう。
自分の悪い癖だ。
けど、彼女は俺が言っている事を理解してくれる。
それも助けられているという事になるだろう。
「…そうですね」
彼女は少し微笑みを作ると、そう言いながらベッドから立ち上がった。
「どうして私は、こうもあなたに助けられるんでしょうかね?」
さぁな、と俺は流しておいた。
助けたいから、と言ってしまえば楽だが。
何故かそれが言えなかった。




