光の弓矢
叫び声が聞こえた途端、爆発音によって掻き消されるというのが、空から繰り返し起こっていた。
木島くんが上で戦って、周りの目を集めているのがわかる。
けれど、頭が回る奴は、木島くんに向かわず、私のところへ向かってきた。
やらなければ死ぬのは自分が一番わかっているので、もちろん攻撃はする。
私が右手を開くと、瞬く間にして弓が出来上がった。昔の時代に出てくる大きな弓だ。
違いがあるとするのなら、その弓は固形ではない、弓も弦も光で出来た物といったところだろう。
私がいる舟に向かってきているのは、犬の顔、獲物に恐怖を与えるような赤い目に羊のような巻角を生やし、力強い筋肉で覆われた全身、コウモリの羽にも見える背中の肩甲骨から翼を生やしている石像のガーゴイル。数は二十。
普通の矢は効かない。けれど、爆破魔法を付与したものなら有効なはず。
左手を弦のところに持ってくると、紅色の魔法陣が纏わり付いた光の矢が、羽から矢じりに掛けて作り出された。
私はその矢と弦を持ち、左手で引いていく。左腕の肘が曲がるところまで引くと、弓を空の方に向ける。
後はこの矢に私の魔力を入れれば、放った途端、目標に向けて追尾する二十本の矢が出来る。
けれど、魔力を入れるのには少し時間が掛かる。普通この状態になれば、周りの子達が牽制してくれれば良いんだけれど………今は贅沢は言ってられないからね…一人でやるしかない。
すると、ガーゴイル達が尖った石の粒を放って来た。
私は意識を魔力から体に変え、回避するために横に転がった。
先程までいた場所を見ると、木の甲板に尖った石が深々と突き刺さっていた。
時間は伸びるけど、痛みを伴いながら注ぐ時よりもマシだと思う。
けど、何回かは避けれるけど、舟の方も気にしなきゃね……船内にいるあの子達の身も守らなきゃいけないし。
少しだけ……時間がかかりそうね…
そう考えていると、また石の粒を放たれた。
ここはもう一度避けて、魔力の量を上げないと。
私は飛んできた粒を、少し距離が開いたところで回避行動に出た。けれど、それが間違いだった。
石は地面にあたる直前に、私に目掛けて、急カーブして来た。
咄嗟のことだった為、反射的に『ストームウォール』を発動させてしまう。
一気に20体倒すのは難しいかも。ここは一体ずつ、確実に倒した方がいいかもしれないわね…
私は再び、爆破魔法を付与した光の矢を弓の弦に乗せ、強く引っ張り、放った。
放たれた矢は、一体のガーゴイルの体に突き刺さった。
爆破魔法を付与された矢は、二つの方法で爆破することが出来る。
一つ目は任意で起爆。
二つ目は、矢が突き刺さったものが触れた途端起爆する。
そして私が選んだのは、任意で起爆する方だ。
私は、弓を持っていない手。左手の指を鳴らした。
途端、ガーゴイルに突き刺さっていた光の矢は、強い光を放った直後、大爆発を起こした。強い風が頬に吹き付けられた後、爆発音が聞こえてきた。
もう少し爆発力を上げることが出来れば、一気に殲滅できるけど……舟の中にいるあの子たちが心配だから無理ね。
こうやって一匹づつ確実に倒して貰えたら、簡単なんだけどね。
するとガーゴイルの内の三匹程が、魔力を使って両腕に石を集めた。二秒も経たないうちに、両腕が巨人の腕の様なものに変わっていた。
巨人の腕のガーゴイルの一匹が、言葉で表せれない鳴き声を発した後、翼を羽ばたかせてこちらに向かって来た。
私は瞬時に、先程と同じ矢を二本作り出して、こちらに向かって来ているガーゴイル達に向けて放った。
矢は二体のガーゴイルに命中した途端、爆発を起こした。最後の一体を狙おうとしたが、先程まで空に居たはずが、居なくなっていた。
こういう時のパターンは、大体後ろを取ってくるかもしれないけど……
そう思いながら、爆破魔法を付けた光の矢を作り出した。
……どこに居たとしても、この矢からは逃げられない。
私は光の矢を、自分の真上に向けて放った。矢はしばらく直進した後、いきなり軌道を変え、舟の下へと潜り込んだ。
この状態は舟の下に張り付いてるかもしれない……
なら、弓で距離を離した後に起爆したほうがいいわね。
左手に光の矢を三本作り出すと、再び上に放った。
三本の矢は軌道を変えて、舟の下に潜り込むと、石に何かが突き刺さる音が聞こえた。
感覚的にあのガーゴイルは船底から離れた。今なら起爆させても問題はないはず。
私は左手の指を鳴らした。舟の下………船底よりも下のところで、爆発音が聞こえて来た。
これで四。残すは十六体ね。
木島くんに力を貸して欲しいけど、彼が上で戦ってるから、今の状態が成り立ってるのよね………
なら、私も彼の為にも、この舟にいるあの子達のためにも、全力で戦わないとね。
サボりすぎましたごめんなさい。
謝罪から始まりましたどうも五里川でございます。
八月中に様々なことが覆いかぶさり、夏休みのほとんどと九月前半の間サボりにサボりすぎたので、次からは頑張って投稿しています。
…………いや、フリじゃないですよ?




