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炎の剣

彼を見送った後、舟の帆に止まっていた白い小鳥が、私の掌に乗ってきた。

小鳥は掌の上で何度か鳴いた後、再び帆のところへ飛んでいった。

敵の正確な数はわからないけど、推定で四十。

石像型のガーゴイルが二十に、大型のフライングドッグが十五、下級吸血鬼が五…

『擬似神器』は向こうにおいてきてるけど、私のスキルならなんとかいけるはず。

こんな時に木島くんが居たら、なんとかなるんだけど……落下してる状態から、ここまで戻ってくるのは無理がある。

使えるのも限られているし…どうするべきかな…

取り敢えず、周りの子達は舟の中に避難させておかないとね。

そう決めた後、わたしは「みんな、一旦舟の中に入りましょう」と言い、みんなを舟の中に入れた。

さて、もうそろそろね。

そう思った途端、いきなりあたりが暗くなった………と言うより、舟の空だけが暗くなった。

今日は雲はなかったはずなのになんで?

疑問に思っていたことは、すぐに分かった。

上を見上げると、無数の影が太陽を隠していたのだった。

四十、五十…数えだすとキリがないほどの影が、舟の上空を覆っていた。

私が想定していた規模と、明らかに違う…

これだけの数、相手に出来るの⁉︎

これは本当に…不味いわね…


「かなり不味いな…だがそれは、一人で対処するのだとしたら、だろ?」


突然、後ろから彼の声が聞こえた。

私は振り返ると、そこには、木島くんが立っていた。

************************

『やはり、落ちている最中で戻る事になるんですね』


『全てを知る者』は、少し呆れながらそう言った。

仕方ないだろ、意外に落ちるの長かったんだしさ…

しかも落下してる最中にいきなり影がかかったからな、誰でも気づく。

それにしても、見たことないような奴がいっぱいいるなぁ…

石像が空飛んでるし、狼みたいな犬が羽生やして飛んでるし、コウモリみたいな羽生やした人が飛んでる。

しかも結構な数が。

ここで上の奴らを狙って攻撃したら、奴らの攻撃で舟がダメージを受けてもおかしくない…よし。

俺はオクルスの耳元で囁くように、どうするかを伝えた。


「オクルスは地上から奴らに攻撃をしてくれ。俺は、空中で対処する」


「空中戦に自信はお有りで?」


「なぁに、少しぐらいはな」


俺はそう答えると、『フライング』を使い、舟の上空へと登った。



上に登ると、周りにいた個性豊かな浮遊物体がウジャウジャといた。

石とか人とかはわかるけど…犬はどうやって攻撃するんだ?

などと考えていると


「貴様、一体何者だ?」


強者気取りっぽい感じの声で、羽を生やした人的なやつの一人が話しかけてきた。


「俺か?ただのアンデットだが、どうした?」


そう答えると、その人は少し黙り、考えるように、左手の人差し指を唇と鼻の間に当てた。

しばらくしてから、口を開いた。


「我らの目的を邪魔をするのか?」


「邪魔する以外、何がある?」


そう聞くと、会話相手になっていた人が声を荒げて、周りに命令を出した。


「奴を敵と見なす!殺せ!」


生きてるのか死んでるのか分からないやつに殺せって言うのはな…

まぁ、良いか。

死ぬのはコイツらなんだし。

周りにいたものたちが、一斉に俺に襲いかかってきた。

さて、新しいスキルを試してみるか。


「『フォティアソード』………」


左手を少し開けた。

すると、左手の掌から炎の短い棒が現れた。それを握った途端、その炎は周囲の酸素を吸い、一気に膨張し始める。

1秒も経たないうちに、炎の棒はたちまち長さ二.五メートルの炎の剣が出来た。


「触れるなよ…触れたら最後、お前達は肉片になってるのだからな」


俺は警告するように言うと、目の前の会話相手の人物に向けて、炎の剣を振り下ろした。

剣が触れた途端、刃の部分が一瞬にして膨張し、大爆発を起こした。

煙が無くなると、人物は消えて無くなっていた。

周りの奴らがビビり、怯んだ途端、俺は敵陣の中に突っ込んだ。

剣が触れるたびに爆発が起こり、肉片が飛び散る。

血が飛び散らないのは、剣の熱で蒸発したらしい。


「どうした?殺さないのか?」


剣を振り回しながら、俺はそう言った。

奴らが動けないのには理由がある。

司令塔が破壊されたからだ。

例えば、命令一つで国一つを破壊できるほどの力を持つロボットが有るとする。

確かに強いが、命令を出すのは誰だ?

人間だ。命令を出してる人間を倒せば、ロボットは動かなくなる。

それは戦場も同じだ。

司令官が潰れたら、陣形も潰れる。

そして、最後には降伏する。

けどまぁ、殺すって言ってきたのは向こうだ。

ここは俺も、ここにいる奴ら全員を殺さなきゃな。

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