交渉と材料集め
五里川です。
ちょっとしたお知らせです。
前に小説を振り返っている時、ユリンの髪型や髪の色、目の色などを書いてなかったので急遽追加しました。
良ければ見てください。
それと書き方を少しだけ変えてみました。
少しでも見やすくなっていたら私は嬉しいと思います。
以上、お知らせでした。
「龍か……そんなものが存在していたのか……」
龍……と聞いて思うのは、空の王者や、陸の王女だろう………アレ?なんかそれ何処かで聞いた事が………まぁいいか。
ゲームとかで言う、越えるべき壁………のようなものだろう。
龍やドラゴンは最強の存在でもあり、それを討ち取ったものは最高の称号を得る。
そして、強い武器も手に入る。
いい事尽くめだが、その分だけ奴は強い。
それを超えない限り、そこまでの称号と名誉はもらえないと言うことだ。
「はい。ここの空域は、あまり龍は飛んでいないのですがね……」
それに…とオクルスは続けて言った。
「私達の『足』である舟がこうなってしまったので……」
と、森の木々をへし折って不時着している舟を見上げながら言った。
「ところで、もう一つ聞きたい事があった。その舟は、空を飛べるのか?」
「えぇ、いまは舟の一部が損傷して、羽を一枚捥がれているので飛べなくなっていますがね」
「羽?舟に翼が生えているのか?」
「はい。ですが、『自動再生』で修復はしますが、完全に回復するにはかなり時間がかかりますが……」
「………もしだ…もし俺がその舟を治すというのなら……どうなる?」
「どうなる………ですか……」
オクルスは、少しだけ黙り込んだ。
まぁ無理もない。
いきなり会った奴が、舟を治すとか言っているんだ。
誰でも返答に困るだろう。
「…かなり助かります」
それがオクルスの答えだった。
「ほう……何故だ?」
「何故………ですか……そうですね、この舟に使われている木は、ここ周辺には生えていない木を使っていますし、羽の再生も完全に動けるようになるには、5日ほどかかりますからね」
なるほど、それだけの理由があれば確かに助かるな。
それに、上手くいけば……
「なら俺が、その舟を治そう」
俺は、オクルスに向けてそう言った。
「タダで…ですか?」
「いや、タダではない。ちょっとした条件がある」
そういうと俺は右手で二本の指を立てた。
「一つ目、俺がその舟を治せたのなら、この舟を俺が利用させてくれ。なに、乗っているものは降ろさないし、下ろすつもりもない。お前のいつも通りに生活してくれ」
「二つ目、俺が行きたい場所へ舟を向かわせてくれ。いつも言わないつもりでいるから安心しろ。まぁ、それだけだな」
そう言い終えると、俺は右手を降ろした。
「それだけの理由なら、舟に乗せるのは簡単です………ですが、信頼が出来ません」
「まぁ、そうなるだろうと考えていたよ。だから俺にもデメリットを用意しておいた」
「……どんなデメリットですか?」
「もし俺がこの舟を修復できなかったのならば、俺をお前の仲間になろう。どうだ?悪くない話だろう?」
「………そうですね…」
少し考え込んだ後、オクルスは言った。
「いいでしょう。そのお話、承ります」
ですが、と彼女は続けて言った。
「修復をできなかった時の責任は、貴方に背負ってもらいますよ?」
「安心しろ、もちろん承知している」
俺はそう言うと、『全てを知る者』に聞いた。
(全てを知る者、この舟の素材を教えてくれ)
『検索中です………発見しました。この地点から南西に40km程離れたところにある浮遊大陸、『浮遊の森林』にあります』
(わかった。どれ程の時間がかかる?)
『徒歩で向かうには船などが必要なので、往復で5日は掛かります。ですが浮遊魔法、『フライング』の最高速度を使えば、往復二時間ほどで済むかと』
(よし、それで行こう)
俺は『全てを知る者』にそう言うと、この場所をテレポート位置に記録した後、『フライング』で浮遊し、南西に向けて飛行した。
南西に飛行している中、俺は『全てを知る者』に話しかけていた。
(オクルスは一体どう言う人物なんだ?)
『約二百年ほど前にこの世界に誕生したエルフです。目は生まれた時から見えなくなっていました』
エルフか……まぁ、それなら数百年行きても若いままだからな。
それに生まれた時から盲目ってだいぶ辛いだろうな……
(でも、それだとこちらの世界と日本の世界の時間がおかしいだろ……)
『転生者や転移者の過去は私は知りませんが、彼女が誕生したのは二百年前だと言うこ
とは理解しております』
やはり『全てを知る者』でも、日本とか転生とかの単語は知らないみたいだな。
てことは、その知識だと俺の方が上ってことか………なんか嬉しいな。
『何を一人でお考えになっていますか?私には理解できていますが……』
どうやら俺は全てを知られているみたいだ……
などのやりとりをして一時間が経過した後、『浮遊の森林』に辿り着いた。
名前の通り、岩や土など、地面自体が浮遊していて、その上には草花や木が生えていた。
草の本数は流石にわからないが、木はザッと見たところ500本程あるだろう。
移動の時に聞いてみたところ、この土地に生えている木は、他の木と比べて軽くて丈夫、そして加工がしやすいと言う嬉しい三拍子が揃った優れた木だと言う。
俺はそんな凄い木々が並ぶ中、そのうちの一本の前に降り立った。
自分の左手を人間のものにして、木に手のひらを付けてみたが、木の暖かさとか、そんなものは感じなかった。
だが、風が吹くと聞こえてくる枝が揺れて擦れる音や鳥がさえずる音、草花が波打つのを見ていたら、自然と心が安らぎを感じていた。
……ここに居たら、心が落ち着くだろう…………と思った。
だが、ここに長居するわけにもいかない。
この場所には少々申し訳ないかもしれないが、一本だけ切らして頂こう。
俺はそう思いながら、目の前にそびえる木を切った。
腕で木の幹を抉り取ると、木はバキバキと音を立てながら、こちらにめがけて降りてくる。
それと同時に、木に止まっていた鳥達は鳴き声をあげながら逃げ出した。
………なんかすいません。
俺は謝罪しながら、目の前にある切った木を加工し始めた。
加工の仕方とかは全くわからなかったので、『全てを知る者』を説明書代わりにして作業をした。
『形状変化』や『形質変化』を使えば移動せずに秒で作業が終わるが、この場所はもしかしたら後々役立つかもしれないし、こう言う地道な作業の方が、ちょっとだけ楽しいからな。
まぁ、元から凄い時間がかかる奴には、そんなことはしないけどな。
30分ほどで、木材が出来た。
ちなみに作業中にこの木の名前を聞いたのだが、『空の木』と呼ばれているらしい。
………もっと良い名前はなかったのだろうか…
でも俺はネーミングセンスが皆無だからな………
まぁそんなことはさておき、木材が出来たので、俺はここから引き上げるとしよう。
そして俺は切った木を回復魔法で元通りにした後、『テレポーテーション』でオクルスがいるところまで戻った。




