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黒髪の男

木島 黒柳ことマグナが防衛をしていた時、南門の入り口が破壊された。

こちらからの襲撃はない…と考えていたので、冒険者は誰一人居なかった。

そこからは小型のゴブリン達が入ってきた。

もちろん、周辺に住んでいる人々は恐ろしくなり逃げ出した。

だが、一人だけ違った。

酒屋の扉を開け、白髪を生やした男は、逃げている人々とは逆方向に進んでいった。

「おい、何してるんだ爺さん!早く逃げろ!」

逃げていた男性は立ち止まり、逆走している男に呼びかけた。

だが男はその発言を無視して進み続けた。

「安心しろ、逃げなくても済むさ…」

男はそう言った。

それに………と間を開けるとこう言った。

「まだ爺さんと言われる歳ではないさ」

男はそう言うと、『タイムコントロール』を使い、自分の体を本来の姿に戻した。

その姿は、白に染まった髪ではなく艶のある黒い髪型、そして日本人に特徴的な平面的な顔立ちであった。

男は首にかけてある銀のネックレスを取ると

「銀機『ヴェルマルク、一式・ミリクスバスター』」

と言った。

途端、手の中にある銀は変形し、悪魔の翼のような大剣へと変化した。

男はニヤけると、ゴブリン達の集団の中に駆け出した。

************************

俺は南の門へと向かって全速力で走っていた。

あの場所から南門までは全速力で約20分。

あと1分で着く。

と、そこで南門が見えてきた。

だが、何かおかしかった。

そこにはゴブリンが一体も居なかったのだ。

代わりにあったのは、ゴブリンによって出来たであろう血の池と、銀で出来ていた大剣を背負っている………日本人がいた。

俺はその日本人に近づいた。

日本人は、近づいてきた俺に気付いた。

………何故だ?

何処かで見た事がある顔だった……

いや、見間違いか?

………まぁ良い、まずは何者か聞いた方が良いみたいだな

「………貴方は何者なんなんだ?」

男はその質問を聞くと、男はニヤリと笑った。

「お前なら知っているはずだぞ……木島黒柳…」

コイツ……どうして名前を…

「……何故俺の名前を知っているんだ?というより、どこで知った?教えたのはユリンだけのはずだか……」

「さぁ、なんでだろうな?お前なら知っているかもな……」

目の前の男は右手に持っていた銀の大剣をいきなり消し、ネックレスの形に変えた。

男は首にネックレスを掛けながら、こう言った。

「まだわからないのか……ならヒントだな。お前は、俺を知っている………そして俺たちは親友になった。だが俺はお前とは会えなくなってしまったんだ。もう二年前のことだがな…」

俺がコイツを知っているだと?

二年前?何を言っている……

俺は二年前の事は覚えていないのだが……

「……最後に一つだけ言っておこう。お前は、覚えているのか?二年前、お前の中学校で行方不明になった生徒がいるという事件を……」

中学校………生徒が行方不明………まさかアイツか!?

いや、おかしい……だってアイツは…警察が捜査を打ち切るまで探されたはずだろ……

俺は不意に襟首をつかんでいた。

「なんで………ここに居るんだ……暁人!!」

「よくわかったな…黒柳…」

目の前の男───暁人はニヤリと笑い、俺から離れた。

「名前を当ててくれたお礼に言ってやるよ。俺は安遠 暁人……二年ぶりだな、木島 黒柳」

暁人は俺を見て言った。

「だがここで再会を喜んでも意味はないだろう?早く北に行ったらどうだ?」

コイツ…暁人は生意気だが、ちゃんとしたことは言ってくれるみたいだな………

俺はそう思うと、行った道を逆走して防衛線へと戻っていった。

************************

走って行く黒柳を、暁人は見守っていた。

見守っていたその表情は、少しだけ悲しいように見えた。

黒柳が見えなくなると、彼は反対を向き、門へと歩んで行った。

「お、おい?どこに行くんだ?」

「どこに行くかだと?行き先なんか決まってないさ」

「なんでだ?親友に会えたのにか?」

「親友……か…俺からすれば、アイツはそんなものじゃないさ…」

暁人はそう言って、南門へと進んで行った。

彼からすれば黒柳は親友でも、仲間でも無かった。

ただの、知り合いであった。

それは暁人からすればの話であり、黒柳からすれば、表には出していないが、会えなくなった親友にあえて、少し嬉しかったのである。

だが、それは暁人には届かなかったのである。

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