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神魔族になりました  作者: りんぬごろごろ
幼年期編
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のーちぇんじ!



 「悲しそうな顔、ですか?」


 うん、悲しそうな顔をしてる。嫌、顔にはラエルさんは一切出してない。けど僕にはわかる。かれこれもう三年間もこの仏教ヅラを見てるんだ。わからないはずがない


 どう考えたってラエルさんの本心じゃない。ナルシストみたいだけど僕は結構ラエルさんに好かれてる。勿論恋愛感情的な物ではないけど


 それなのに僕を気遣って、僕が嘘をついて怖がってないように見せてるんじゃないかと思って、怯えながら提案している


 

 そんなの許せない。何でこんなにも感情が昂ぶってるのかわからない。けどこれはきっと、僕の前世の感情

 何でこんな感情になるのかは記憶がないからわからないけど、前世の僕はこんな怯えながら、気遣いながら接するような関係が良いとは到底思えてないんだろう


 

 そして一番許せないのは、ラエルさんが今までそんな事を僕に思っていたことに気づいてあげられなかったことだ!こんなにも不器用な形でしか優しさを表せられないラエルさんに、こんな事を思わせていたくない!



 「ラエルさん!」


 「あ、はい。何でしょうか」


 もう絶対にそんな事を思わせないように僕は言う。この感情が言わせるがままに



 「ぼくはぜんぜんそんなこと思ってないし、ラエルさんといっしょにいるとたのしいよ!ぜったいにかえたりしない!」


 「ですが、私は、、、」


 「ぼくはずっとラエルさんといっしょにいる。どんなことがあっても!

 もしラエルさんがいっしょにいるのを嫌がったとしてもぜったいはなれないから!」


 

 ふぅー、何か勢でちょっと恥ずかしいことを言った気がするけど満足だ。感情が昂ぶったせいかちょっと涙が出てる。泣いてると思われちゃったか。でもそう思われたほうが都合が良いかも


 宣言通り僕は絶対に変えたりしない。けどこれにラエルさんが納得してくれるかどうか


 

 チラッ、と顔を見ると、今まで一度も見たことが無いような顔をしてた

 驚いているような感じと頬をちょっと赤くして口元が少し上がってる


 これは、この顔は多分嬉しい、かな?そう思っていてくれると良いんだけど



 「私、そんな事を言われたの初めてです。ありがとうございますお坊ちゃま」


 「うん。わかってくれた?」


 「はい、わかりました」


 「もうあんなこと言わないでね」


 「はい、勿論です」


 

 良かった。僕の思いがちゃんと伝わったみたいだ

 でも何でこんなに感情が昂ぶったんだろう。前世で一体何があったんだろ

 というか感情とか記憶とかはスキルになってるはずなんだけどな。でもラエルさんに思ってることをちゃんと伝えられた事は良かった。本当に



 「そうだ、ぼくがこわがられないようにてつだうよ。こんどいもーとかおとーとが生まれるし」


 「はい。本当に、ありがとうございます」



 ぽたっ、とほっぺたに水滴が落ちてきた。しょっぱい水滴が



 「ラエルさん、なんでなくの?」


 「ふふっ、大丈夫です。これは、嬉し涙ですから」


 よかった。ちょっとヒヤッとしたよ何かやっちゃったのかと思って




 「お坊ちゃま。いえ、リュウ様。私も貴方のこと、離しませんからね?」


 「うん!ぼくも!」



 長らく笑っていなかったからなのかラエルさんの笑顔は凄くぎこちがないものだった。だけど僕も短い人生の中で見たもっとも美しい物だった




 




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