「 全員集合 」
カグネは未だナギトの家で佇んだまま、クオンもそれを眉間にしわを寄せながら見つめてる。
一人の青年がその家を通り過ぎるときひょいと顔を出す。
「……なに、してるの。集合かかってるよ。」
紫髪の隻眼の青年がいた。彼の名前は紫音。高身長で180cm越えのほぼ一人狼で口数の少ない消却的な青年。
二人に声をそっとかけると所々壊れている部屋に土足で入る。
そして、軽々と立ち尽くしている二人を担ぐと血が染みている壁をじっと見てから部屋を後にした。
「降ろせ、俺は歩ける。それより集合って誰が?」
数百メートル歩いてからやっとクオンが口を開く。そっと降ろしてやると集合とはなんぞやと言わんばかりに口を開いて質問してくる。
「……今朝のポスト見てない?多分みんなもらってるはずだけど……。」
小さな身体の少女を抱きかかえながらポケットから四つ織りされた紙を出すとクオン渡す。それを、受け取ると中身にはこう書かれていた。
<御伽噺の国の人々へ、こんにちは。神様です。今回はとっても残念ですね。自ら命を絶つことは望ましくないことですが…しょうがないことだって世の中ありますからね。気持ちを切り替えていきましょう。さて凪音くんの死は無駄にはなりません。だってもう新入りいるぴょん♪可愛い女の子だぴょん♪仲良くするぴょん(^^♪とりあえず全員集合だよ~?>
その四つ織りの紙を勢いよくクオンがぐしゃりと音を立てて丸める。
そのしぐさをシオンが横目で見つめる中、クオンはぐしゃぐしゃに丸めた紙を道に投げ捨てると乱暴に歩き出す。その音にカグネが正気に返り、シオンの肩からするりと抜けるとすとんと地に足をつける。
「朝はクオンが真っ先にナギトの死を知らせに来たから、僕ポスト見てない。とごめんねシオン。僕もう歩けるから集合場所向かおう。」
心配そうな隻眼ににっこりとほほ笑むと尻尾をゆらゆらと揺らした。
先程の会話はうっすら聞いていたので自分がどうすべきか分かっていた。
そうして時間は過ぎ、三人は集合場所につく。
「街」にある綺麗なホール。そこに12人は集められて舞台の上に立つ。
これも毎回同じことだった。この世界に入った順番通りにみんな並んでいく。
これも、いつも通り。そしてスピーカーのスイッチが入る。
そこから流れる声は機械独特の声。
『やあ、よく集まったね!毎回恒例の能力おさらいと、新人公開と、新創造者の発表だよ~!!まずは能力おさらいから!』
凄まじいテンションでさらりと話を進める自称神様。
ぱっとホールの電気が消え、紹介する人一人一人に違うスポットライトが充てられてゆく。実にまぶしい。そんなもの聞く人なんていないのにとカグネは心底あきれた。