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Q.『凡龍は平凡な日常を楽しめるか』?  作者: 虹乃夢見
“普通”という事情は何時でもそこにある
7/24

『何でも無い、狩りの様子』

 何とか朝食を食べ終えて、軽く運動した後ログ・インした。

 危ない危ない…今日が休日で良かったけど、それ以外だったら授業で寝落ちする所だったかもしれないな。

 フレンドを確認したけどブリギットさんは未だ来て無いみたいなので朝は森で採取&食材狩りをしようと思う。

 納品を午後に決めると、森の中に入る。

 植物採取に黒曜石拾いをして、果物の木を確認すると新しい果実を見付けたので採取してみる。


 ○オレ=オレジナの実


 見た目からして柑橘類だと推測して、皮を剥いて皮ごと食べて見る。

 うん、まんまオレンジでした。

 いや、オレンジよりも皮が剥き易いし甘いのでオレンジよりタンジェリンに近いな。

 これもポーションの類で使って…………あ、グミでも良いかな?

 何房か実を捥いでストレージへと送る。

 その後、奥に進んで骨と肉の確保に何体か獣系のモンスターを狩っていく。

 歩いている時、ふと違和感を感じたので『平凡化』のスキルを使って自分自身を周りの環境に溶け込ませてみる。

 ――――思った通りだ。

 “餌”を見失って僅かに焦る蟻達の姿。

 アイコンを通してみると、


 ○【グラスアントLv5】


 と表記されていた。

 「蟻かよ!」と他の人ならがっかり感MAXで突っ込んできそうな勢いだけれども、此処は素直にやっとお出ましかと期待しておいて損は無いだろう。

 スキルは掛けたまま、そのまま真正面から近付いて行って――――――――すぱんっ!

 剣の刃によっていきなり首チョンパされた蟻達は、斬られた事にも気付かずに動いていたけれども、数歩移動した時に、首が一斉に地面に落ちながら絶命。


 「……」


 うん、普通に斬った筈だよね?

 ……ああ、良くある不意打ちフラグだったの?

 はい、御馳走様。

 やったね、これでコモン君も立派な暗殺者だよ!


 「……っとと」


 イケナイイケナイ、あまりの出来事にフリーズしかけちゃったけどドロップを確認すると甲殻、顎、毒針が手に入った。

 何故に毒針?

 パラポネラじゃあるまいし。

 気にしてもしょうがないか。

 奥に進む旅に蟻に遭遇したものの、今度は顎と甲殻ばかりで、針は一度も出る事は無かった。

 急展開を迎えたのは帰り際だった。

 果実の木があるエリアに近付いて来た時、背中に衝撃が走った。

 軽く吹き飛ばされたけども、素早く受け身を取って転がり込んだ。

 ふう、危うく地面と熱いベーゼをしてしまう所だったぜ…。

 うげっしかも、HPが1/3%削られてる!?

 …そんな事より周りを見渡していると上空からほんの僅かに空気が振動する音が聴こえて来た。

 音のする方向へ視線を向けると、でかい蟻がなんとお空を飛んでいたのだ。


 ○【グラスアント・キングLv8】

 HP100%

 MP20%

 グラスアントの雄、次世代の為だけに生まれ、死んで往く


 キング、ってあーたー…それに何気にレベル高いし。

 すぐさま『平凡化』で存在を薄くするけど、それを何とも感じて無いのか、お尻から何かを噴き出してきたので咄嗟に避けた。


 「っつ!?」


 避けきれなかったのか、噴出された何かの一部がほっぺたに掛ったと同時に痛みが走る。

 ……“蟻酸(ぎさん)”!

 見たて高レベルの上に中ボスに劣るとはいえ、強雑魚の部類に存在している。

 このままじゃジリ貧、やられるのがオチだ。

 普通に考えたらそうなんだろう。

 けど、普通に恐怖は感じ無い。

 なら、出来る。


 「あんな“平凡”な奴、“普通”に倒せる」


 途端、世界が変わった気がした。

 蟻酸を飛ばして動きを封じ込めようと攻撃を仕掛けてくるけども、一度経験しているので“普通”に避ける。

 蟻の王は焦りのあまり、蟻酸の飛ばす量と早さを上げるが、どうという事は無い。

 様は“普通”に当たらなければ良いのだ。

 蟻の王の懐に入って手刀を作ってその首目掛けて真っ直ぐに、掌を下に、水平にして突く。

 喉を潰された挙句、肩から上を両断された蟻の王は地面に墜ちて、砕け散って逝ってしまった。


 「ふう、手強い相手だった…」


 まぁ、でも普通に手応えを感じたのは序盤だけだったし、直ぐに態勢立て直しリカバリ出来たからこそ。

 流石にやり過ぎたと思ったけど、トップ組はこれより凄まじい戦いをしているんだなという結論に至ったので、これ以上は考えないようにした。

 手に入れたのは、蟻王の顎・蟻王の甲殻・蟻王の薄羽・蟻酸の四種だった。

パラポネラ。

和名をサシハリアリと言う、肉食の蟻で針を持つ蟻として有名。

危険な生物の一種であり、特に全蟻・蜂の中でも刺された時の痛みが強いらしいとの事。

南米のとある国の一部では戦士としての通過儀礼のために活用される様である。





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